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~30年続けた飲食業にー区切りをつけ、新たな道へ~【千原 実千代氏】

株式会社 桜雅

転機のとき、人生を見つめ直した

覚悟を決めた出来事

コロナ禍。
飲食業界にとって、それは前触れもなく訪れた嵐のような日々でした。
私の店も例外ではなく、経営は厳しくなり、住宅ローンの返済が重くのしかかってきたんです。
20年も払い続けているローン。
「少し見直してもらえないか」と銀行に相談に行ったときのこと。
若い担当者に、あっさりこう言われたんです。

「生活がそんなに苦しいなら家売りますか?」

笑いながら、軽くあしらうような心ない言葉に、
それはもう、悔しくて、情けなくて、とても傷つきました。

飲食の仕事って、たくさんの人の心に寄り添う仕事です。
疲れている人、ストレスを抱えている人たちが、
癒されて、また明日を頑張ろうと思える――
そういう瞬間をつくれる誇りある仕事だと信じてきました。

でも、その言葉をぶつけられたときに、ふと自分に問いかけてしまった。

「私は本当にこの仕事が好きだったのか?」と…

長年、個人事業としてやってきた飲食店。
いつしか、「自分に向いてるのか」「これが本当にやりたいことなのか」と
答えのない問いを抱えながら走り続けていたのかもしれません。

だからこそ思ったんです。
“50歳で引退する”と自分で決めていた、その節目が、いまなんだって。
コロナで予定は少しずれたけれど、それでも――
「このタイミングで、本当に自分がやりたいことを形にしてみよう」
そう、覚悟を決めることができました。

思いが続く形で

着物が紡ぐ、次のストーリーへ

コロナ禍で飲食店を営んでいた私は、常連のお客さまからいろんな話を聞く機会がありました。
建築、介護、遺品整理、解体――。
その中でもよく耳にしたのが、
「着物が処分されてしまう」という話でした。

「誰もいらないから、まとめて処分した」
「解体と同時に、家ごと廃棄になった」
そんな話が、現実として日常にあったんです。

着物って、日本の伝統や文化が詰まった特別な存在なのに、最後には“ゴミ”として扱われてしまう。
その現実に、どうしても「もったいない」という想いが湧いてきたんです。

ただ古いから、誰かが袖を通したものだからと言って、価値がなくなるわけじゃない。
職人が少なくなり、高齢化が進み、昔と同じ物を生産することが、難しくなっています。
むしろ、価値が上がっていると思います。

だからこそ、もう一度、今の暮らしの中で活かしていく方法を見つけたい。
そんな想いが、私の活動の原点になりました。

着物にもう一度光を…

唯一無二の逸品へ生まれ変わる

実は、私の母は踊りの師範代をしていたこともあり、着物は身近な存在でした。
古いもの、使い古されたものに新たな命を吹き込みたい――そんな想いが芽生え、
最初に考えたのが「着物でアロハシャツを作る」こと。

当時はまだ珍しかったアイデアでしたが、縫製のスキルや設備が必要で、ハードルは高かった。
そして、ふと立ち止まったときに気づいたんです。
「アロハを作ることが目的だった?」と。

アロハシャツとしての“形”ばかりが目立ってしまって、本来伝えたい着物の魅力が薄れてしまう。
帯や着物の柄が主役として活きるような形じゃないと、文化の継承にはならないんじゃないか。

そう思い直して、新たに始めたのがクッション作りでした。
着物そのものが目に触れることができる。
デザイナーさんが「着物として」描いた意匠や色、風合いがそのまま伝わる。
服のように別の形に変えてしまうのではなく、素材そのままの美しさを活かせる。

「これなら、着物の魅力がちゃんと届く」
そう思えた瞬間でした。

そして生まれたのが、私のブランド「舞音ーまいんー」。
“Mine(マイン)=私のもの”という意味を込めています。
ひとつひとつが1点もの。まったく同じものは作れない、たったひとつの存在です。
だからこそ、それを手にした人にとって“これは私のもの”と、心から感じてもらえるように。
そして「舞う」「音」と書いて“舞音(まいん)”。
思わず心がはずんで、踊り出したくなるようなワクワクする気持ちを、作品にのせて届けたい。
そんな想いを込めて……

私が守りたかったもの

日本の文化を新時代へ

1,000以上の伝統色を持つ日本。
着物の色って、世界でもトップクラスの美しさだと思うんです。
ほんのりとした桜色や、深みのある藍色、季節を映すような繊細な色の重なり――
まるで日本の自然や四季をそのまま閉じ込めたような、奥行きのある美しさがある。

私はその色彩を“ファブリック”という形に変えて、日本そのものを感じてもらえる空間をつくりたいと思いました。
たとえば、春をイメージした淡いピンクのクッションや、落ち着いた和の雰囲気を引き立てる帯のテーブルランナー。
部屋全体を着物でコーディネートすれば、泊まる空間そのものが「日本の美」となる。

そのころから、私は“インバウンド”の可能性も見据えていました。
海外から訪れるお客さまにとって、「ああ、日本だな」と感じてもらえる瞬間。
着物が持つ力で、旅館やホテルの部屋に“物語”を宿せたら――
「次はこの部屋に泊まってみたい」
「またあの着物の空間に戻りたい」
そんなふうに、空間ごとの魅力が広がるお手伝いができるかもしれない。

着物は、ただの布ではなく、日本人の美意識そのもの。
それを活かす場をもっと広げていきたい。
そんな想いが、今の事業の土台になっています。

日本の伝統を丁寧に未来へつなぐこと。
一枚の着物の物語が、次の誰かの心を動かす瞬間になるように。

一枚の布に込められた物語

未来へ繋いでいく

着物一着にも、それぞれの物語があります。
「昔こんなことがあってね」なんて、お話を聞かせてもらいながら、譲っていただく着物たち。
娘さんもお嫁さんも着ないから――と、大切にしまわれていたその一枚が、
「何かの形で役に立つなら」と、手放してくださる。

想いが詰まった着物だからこそ、大切に、やさしく生まれ変わらせたい。

日本らしい着方や、着物の美しさも、これから先の時代にちゃんと残っていてほしい。
その“残し方”を、私はまだ模索している途中です。
だけど、少しずつ、ここにたどり着きたいという“想いの形”が見えてきた気がします。

やりがいは、いくつもあります。
心から「かわいい!」と思えるものが仕上がったときのときめきも。
もう捨てられてしまうはずだったものが、新たな光をまとって、
もう一度、人の暮らしの中で輝けることも。

伝統を大切にしながら、新しい形を探していく。

一枚の布に込められた時間と思い出。
それを未来につなげる、やさしいものづくりを、これからも。

会社情報

会社名略称. 株式会社 桜雅
勤務先名 株式会社 桜雅
本社住所 新潟県長岡市川崎町1469‐9
代表者名 代表取締役 千原 実千代様
こんな人に会いたい \こんな人に会いたい/
昔、洋裁や和裁をしていた方。
そんな方たちが、もしもう一度、着物と関わってくれたら――
たとえばご自宅でできることでも構いません。ちょっとしたお手伝いでも、アドバイスでも。
その知恵や経験が、今の私たちにとって本当に大きな力になります。

着物って、ひとりで守っていくには少し大きすぎるけれど、
誰かと一緒に関わることで、また息を吹き返していくような気がします。

私は、そんな方たちと出会えたらうれしいです。
一緒に、着物の伝統を未来に残していけたら――
それはきっと、とても心あたたまる時間になると思います。
事業内容 着物和雑貨制作・飲食業
メッセージ この仕事をはじめてから、たくさんの人と出会うことができました。
自分ひとりでは気づけなかったこと、見えなかった景色を、いろんな人が教えてくれました。
アドバイスをもらえたことも、時には悩みを聞いてもらえたことも、全部がありがたくて。

正直、私はまだまだ知らないことだらけです。
でもだからこそ、人とつながって学ぶことは、決して無駄なんかじゃないって思うようになりました。

この出会いの一つひとつが、私にとっては大切な宝物。
人とのご縁こそが、きっと私のいちばんの財産なのかもしれません。
その他 株式会社 桜雅
ホームページもぜひご覧ください。
https://oga-japan.site/mine
(上記にQRコードございます。)

取材者情報

今回の社長へのインタビュアーのご紹介です。
「話を聞きたい!」からお問い合わせを頂いた場合は運営会社の株式会社採用戦略研究所を通して、各インタビュアー者よりご連絡させて頂きます。

取材者名 ㈱採用戦略研究所 土田
住所 新潟県長岡市山田3丁目2-7
電話番号 070‐6433‐5645
事務所HP https://rs-lab.jp

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