未来志向経営者インタビューサイト「新潟社長図鑑」

まだ途中、だから面白い!【澁木 雄一氏】

hoihoi/HAMBURGERS BEARS/Laule'aCaffe

トラックから厨房へ

”hoihoi”のはじまり

16年前、ある日突然、人生が大きく動き出した。

当時はトラックの運転手。
決して派手ではないけれど、自分なりにまっすぐ働いていました。
ところがある日、会社から告げられたのは、「今日で終わりです」という言葉。
理由もなく、会社が突然倒産してしまったんです。

職を失った仲間たちと呆然とする中、ひとりの知人が声をかけてくれました。
「俺と飲食店、やってみるか?」

その人は調理師免許を持っている人。
自分はまったくの未経験だったけれど、
“やってみようか”と自然と思えたのは、きっとその人との信頼があったからかもしれません。

最初に始めたのは、洋風居酒屋。
けれど地域に根づくのは、もっと親しみのある“ザ・居酒屋”のようなお店。
思うような手応えを感じられないまま、1年半ほどが過ぎた頃、
一緒に店をやっていた相手が「やっぱり普通の居酒屋をやりたい」と。

それなら、自分は自分の形でやってみよう――
そう思い、一人でお店を引き継ぐことを決意。屋号も新たに、「hoihoi」と名づけて
再出発することにしたんです。
軽やかで覚えやすいこの名前には、
”幸福や愉快な”という意味があります。まさにきてもらうお客さんが
楽しいく過ごしてもらえる場所になればいいなと思って付けました。

そしてこの“hoihoi”という場所が、自分にとっての原点になりました。

ここから、また新しい挑戦が始まっていくことになります――

流れに乗って、挑戦は次のステージへ

出会いがチャレンジに

あるとき、吉田商工会青年部に入ったことが、新たな展開のきっかけになりました。

燕市吉田で、昔から地元に親しまれてきた「鶏肉のレモン和え」。
青年部がこの名物をイベントで出店しており、ある日、こう声をかけられたんです。
「このレシピを引き継いで、いろんな地域に発信していってくれないか?」

この地域の味を、もっと多くの人に届けられるなら――
そう思い、喜んで引き受けることにしました。

ただ、イベント出店はテントの設営や準備がなかなか大変。
もっと身軽に、もっと多くの場所に行けるようにと考え、キッチンカーをつくることを決意。

それが約8年前のこと。
以来、hoihoiの夜営業を続けながら、週末はキッチンカーを走らせて県内のイベントに参加。
スタートは燕市吉田。今では新潟県内のあちこちを巡っています。

そして、挑戦はそこで終わらなかった。

ネクストジェネレーションタウンのオーナーに声をかけていただき、
その一角で、新たにもうひとつの店を出すことになったんです。
居酒屋とは違う、まったく新しいチャレンジ。

そのお店のテーマは――ハンバーガー。

実は昔からジャンクフードが大好きで、
県外に行くたびに各地のハンバーガーを食べ歩くほど。
「いつか、自分でもやってみたい」
そんな想いをずっと心の片隅に持っていたんだと思います。

だから、お話をいただいたとき、もう迷いはなかった。
「やるしかない!」そう思いました。

しかも、ジェネレーションタウンは“アメリカ村”とも呼ばれている。
自分の中で、すべてがぴたっと合わさった感覚。
好きなこと、楽しいこと、人との出会い――
その全部を信じて、また新たな扉を開きました。

こうして生まれたのが、「HAMBURGER BEARS」。

県外で出会った、あの本格的でジューシーなハンバーガーたち。
一口で気分が上がるような、あの感動を――
今度は、自分の手で“お店”というかたちにして届けてみたいと思ったんです。

未完成なお店、“HAMBURGER BEARS”という挑戦

コンテナハウスから始まった。

ただハンバーガーを売るだけじゃ、つまらない。
「なんかここ、いいな」って思ってもらえるような、そんな空間をつくりたかったんです。
ふらっと立ち寄れて、ちょっと元気が出る――
そんな場所を目指して、「HAMBURGER BEARS」は生まれました。

営業を始めたのは、ちょうどコロナが落ち着きはじめた頃。
最初の店舗は、ネクストジェネレーションタウンの一角にあるコンテナハウス。
今っぽい雑貨やディスプレイを取り入れながら、
厨房は外からも見えるようにして、焼きたてのパティの香りや音が自然と伝わるような、
“ライブ感”のある店づくりにこだわりました。

ありがたいことに、ジェネレーションタウンでの営業は少しずつ軌道に乗り、
2025年5月27日には、新たな拠点を構えて正式に店舗をオープンすることができました。

新店舗のテーマは、“古き良きアメリカ”。
木のパレットを切ってソファーにしたり、壁面の装飾を工夫したり――
できる限り自分たちの手で改装を行い、空間そのものに手づくり感を入れながら。

「ここで完成」ではなく、「ここからがスタート」。
この店は、ずっとつくり続けていく場所。
少しずつ進化しながら、訪れる人にとって“ちょっとワクワクする場所”であり続けたいと思っています。

もちろん、ハンバーガーそのものにも強いこだわりがあるんです。

たとえばパティ。
本場アメリカでは、肉を薄く潰して何枚も重ねるスタイルが主流だが、
自分たちは、日本人の舌に合うように、やわらかさとジューシーさを重視。
一口食べたときに「あっ、うまい」と思えるような、絶妙な焼き加減と厚みに仕上げています。

バンズも、パティとのバランスを考えて専用にオーダー。
余計な主張をせず、それでいて味の一体感を生むように大きさも調整してもらっているんです。

さらにレタスにもこだわり、地元・燕市で育てられた水耕栽培のレタスを使用。
みずみずしさが段違いで、しかも日持ちもする。
何より、アツアツのパティを挟んでも“シャキッとした食感”を保ってくれるのが魅力です。

一つひとつの素材にしっかり向き合い、
今日もまた、「最高の一口」を目指しています。

どん底から這いあがるまで

ピンチをチャンスに変えた瞬間

「hoihoi」は、自分にとって飲食人生のはじまりであり、原点です。
でも振り返ってみると、もう…苦労しかしてない(笑)。

最初の1年、1年半くらいは、ありがたいことに仲間たちがたくさん通ってくれて、
お祝いムードの中で毎日がにぎやかで、本当に楽しかった。
飲食業はまったくの未経験だったけど、とにかく目の前のことに夢中でした。

でも、2年目、3年目になる頃にふと気づいたんです。
「このままで、大丈夫か?」って。
数字を見ると、明らかに売上が落ちていて、
最初の勢いはすっかりなくなっていました。

何をどうしていいかも分からず、ただただ毎日を回すだけ。
気づけば、誰も来ない日が3ヶ月も続いていて――
そこで、初めて「飲食って、厳しい世界なんだな」と痛感しました。

その頃には、家賃はなんとか払えていたけれど、
光熱費までは正直きつくて、電気代の支払いも滞っていました。
「3ヶ月も滞納したら、さすがに止められるな…」と思いながら、
片付けるつもりで店に行ったときのこと。

電気が、ついていたんです。

あれは、今でも忘れられません。
「まだ、やれるぞ」って、背中を押された気がしました。

その瞬間に、“もう一度だけ、やってみよう”って思えたんです。
どうせここまで来たんだから、怖いものなんてない。
底まで落ちたからこそ、あとは上がるだけ。
そう思って、腹をくくりました。

そこからは本気でした。
たばこも控えて、お酒の席も行かず、とにかく必死にやった1年。
それが、少しずつ今につながっていきました。

あの時のどん底があったから、
商工会とのつながりも生まれたし、キッチンカーの挑戦にも踏み出せました。
そして今の「HAMBURGER BEARS」にもつながっていると思っています。

その後にやってきたコロナも、もちろん大変でしたけど、
正直、「あの頃に比べたら全然大丈夫」と思えました。
あの時を越えてきたから、次が来てもまた動ける。
準備をして、前を見て、やるべきことをやる――
そういう思考が自然と身についた気がします。

今でも、「あの日電気がついてたこと」って、
自分にとっての“もう一回”の合図だったと思うんです。

夢は言葉にすると、誰かが応援してくれる

スタッフと自分の夢

18歳から働き始め、これまでいろんな職に就いてきました。
男社会の現場も多くて、正直、過酷なだけで面白くなかったこともたくさんありました。

「もし自分がやるなら、こうはしない」「こうしたい」
当時思っていたそんな想いを、今――思いっきり形にしてやろうと思っています。

だからこそ、BEARSでもスタッフの声を大切にしています。
一緒にアイデアを出して、お店づくりに参加してもらう。
「やらされてる」じゃなくて、「自分たちでチャレンジしてる」って感じられる場所にしたいんです。

いちばん考えるのは、やっぱりスタッフのこと。
スタッフが楽しく働いてくれていたら、
自然とそんな空気に惹かれて、お客さんも集まってくるんじゃないか――
そう思うんですよね。

だから楽しくて、つい自分もずっとプレイヤーで居続けちゃってるんですけど(笑)。

そして今、実はまた一つ、大きな夢に近づいています。
それが――東京進出。

最近、都内のランチ事情を聞く機会があって、
「ランチ難民が多い」って話を聞いたときに思ったんです。
「キッチンカーで、オフィス街にランチを届けられないかな」って。

勝負は、たった4時間(10時~14時)。
でも、動き方次第ではしっかり勝負できる市場らしくて、今、準備を進めています。

そんな夢を口にしていたら、不思議と“力になってくれそうな人”と出会うんですよね。
「うちの事務所の前で出してもいいよ」と言ってくださる方もいて、
すでに2ヶ所、キッチンカーで出店できそうな場所が決まりました。

さらに、奇跡は続いて――
たまたま「hoihoi」に飲みに来てくれた社長さんが、
「都内に物件あるから、飲食業やりたいなら声かけてよ」って。
まさかの展開に、自分でも驚いています。

今はまだ準備段階ですが、来年の冬から本格的に動き出せたらと考えています。

もちろん、うまくいく保証なんてない。
でも、たとえ失敗したとしても、必ず何かが次につながる。
そう信じて、「いい経験したな」って笑える自分でいたいと思っています。

そして、もうひとつ――
さらなる夢は…六本木ヒルズ!(笑)

冗談半分、本気半分。
でも、夢ってそうやって笑いながら語れるくらいが、ちょうどいいのかもしれません。

会社情報

会社名略称. hoihoi/HAMBURGERS BEARS/Laule'aCaffe
勤務先名 hoihoi/HAMBURGERS BEARS/Laule'aCaffe
本社住所 新潟県燕市吉田2756‐1ヴェルディ吉田1F
代表者名 オーナー 澁木 雄一様
1年後〜3年後の目標 \まだまだやれる、そんな思いで/
時間が無限にあれば、どんな夢にも近づけるかもしれない。
でも、時間は誰に対しても平等で、そして有限です。

この先、あと10年、20年。
そのなかで“いいところ”まで行けていなければ、きっと夢には届かない。
だから僕は、止まらず走り続けます。
こんな人に会いたい \自分の夢を叶えるために必要な人/
職業はなんでも構わない。
むしろ、自分とは違う生き方・働き方をしてきた人にこそ、興味があります。

その人たちが、なぜうまくいったのか。
どこでスイッチが入ったのか。
どんなマインドで壁を乗り越えてきたのか。

そんな話を、いつかじっくり聞いてみたいと思っています。
事業内容 飲食業
その他 お店情報はInstagramでもご確認できます。
bears.0617(BEARS)
drinkuspacehoihoi(hoihoi)

取材者情報

今回の社長へのインタビュアーのご紹介です。
「話を聞きたい!」からお問い合わせを頂いた場合は運営会社の株式会社採用戦略研究所を通して、各インタビュアー者よりご連絡させて頂きます。

取材者名 ㈱採用戦略研究所 土田
住所 新潟県長岡市山田3丁目2-7
電話番号 070‐6433‐5645
事務所HP https://rs-lab.jp

話を聞きたい!