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「誰かの役に立つことこそが誇り」 破産再生の現場に挑む、動産換価のプロ集団 Mission【代表取締役社長 栗林 巧氏】

株式会社Mission

価値を見抜き、再生につなげる

Missionの信念と誕生の背景

「ハイエナみたいな仕事だな」
「人の不幸で飯を食っているんだね」
__そんなふうに言われることもある業界です。

でも、私たちの仕事は、ただの“買取”ではありません。
破産した会社の中には、まだ十分に使える在庫や設備、車両があります。
それらの“動産”を、ただ安く買い取るのではなく、
「売り手にも買い手にも、最適なかたちで取引されるべきもの」として、価値を最大化する。
それが、私たち株式会社Missionの行っている「動産換価」という仕事です。

かつては、古物商やリサイクル業者が一括で安く買い取るのが当たり前でした。
でも、それでは納税もできず、破産した会社や個人が再起する足がかりにもなりません。
「だったら、この仕組みを変えよう」
そう決意し、裁判所から選任された破産管財人の弁護士と連携し、“再生を支えるしくみ”と
して立ち上げたのが、「Mission」です。
社名には、“使命(ミッション)”という想いを込めています。

私たちは、公正・公平な取引を実現するため、クローズド入札方式を徹底しています。
誰がいくらで入札したか分からない形式で、純粋な価格競争を行い、結果を一覧にまとめて、
証明付きで弁護士に提出しています。

ある案件では、ある業者が「全部まとめて3500万円で買いたい」と熱心に言ってきました。
でも私は、即座にお断りしました。
「申し訳ありません。すべて、公正な入札会で行っておりますので」__と。
そして迎えた入札の結果、最終金額はその倍以上。
スタッフは、結果を見てボロボロ泣いていました。
それほどまでに、一件一件に本気で向き合っていたからこそ出た涙でした。
その姿を見て、私は心から思ったのです。
「これが、私たちの誇りだ」と。

でも、ここに至るまでには、私自身の原点がありました__。

汗と涙の原点

15歳で背負った多額の借金

私は15歳のとき、親の借金3000万円を背負いました。
家は破産寸前で、先が見えない毎日でした。

高校時代は、バイトを3つも4つも掛け持ちし、友達と遊ぶ時間は一切ありませんでした。
みんながカラオケに行く時間も、私は飲食店の仕込みに向かっていました。

それでも「卒業だけはしたい」と思い、先生に頭を下げてアルバイトの許可を取り、
授業にもなんとか出ていました。 正直、高校時代の記憶は「働いていたこと」しかありません。

20 代になってからも、昼はサラリーマン、夜は代行のバイトを掛け持ちし、
寝る間も惜しんで生活のために動いていました。

美容ディーラーとして働いていた頃、ある社長にこう言われたことがあります。
「お前、経営もしたことないのに、メニュー提案だ営業だって、何が分かるんだ?」
その言葉が悔しくて、「だったら、やってやろう」と決意しました。
そして、美容室の経営を始めたのです。 起業のきっかけは、夢や理想ではありません。
それは、悔しさと、生きるための決意でした。 しかし、すべてはそこから始まりました。

「死ぬ気で働け、死なないから」

すべての出会いが力になった

「死ぬ気で働け、死なないから」
__誰かに教わったこの言葉は、今も胸に深く残っています。
若い頃からずっと必死に働きました。寝る間を削って働き、家族を養い、 代行のバイトもこなし、冬には除雪の仕事にも行きました。
それでも、一度も「嫌だ」と思ったことはありません。

なぜなら、そのような苦しい時期に、多くの方々と出会い、可愛がっていただき、 叱っていただき、そうしたすべての経験が、今の自信につながっているからです。
そして、自分自身を好きになることができました。 人生の師匠と呼べる方々は何十人もいます。
そのすべての出会いが、私を育ててくれました。

Mission を立ち上げ、今こうして活動できているのも、あのときの経験と出会いのおかげです。
ご縁と恩返しの連鎖__それが、私の原動力となっています。

スタッフと挑むMission

家族のようなチームの力

当社のスタッフは、今や私の右腕であり左腕です。
全員が女性で、最初はスマホの操作もおぼつかない者もいました。
しかし、何年も一緒に走ってきて、今では“任せて安心”の存在に成長してくれました。

Mission の行っている“動産換価”のスタイルは、全国を見渡しても同じレベルで取り組んでいる会社は、おそらく3社ほどしかありません。
「真似されないのですか?」と聞かれることもありますが、正直なところ、簡単にはできないと思っています。 というのも、私たちは膨大な量の事務処理を、弁護士や裁判所に提出できるレベルまで作り込んでいます。 スタッフ一人ひとりが、弁護士によって異なる言い回しや書式にも対応できるようになっており、「この先生ならこの表現で」「裁判所提出ならこの書き方で」と自然に判断できるのです。

これはただの事務作業ではありません。
積み重ねた経験と信頼がなければ、成し得ない領域です。
「やれるものなら、やってみろ」と言いたくなるほど、この分野に誇りを持って取り組んでいます。

案件に向き合う姿勢にも妥協はありません。
一つひとつの動産に、全力で、丁寧に、誠実に向き合っています。
その姿勢に、何度も心を打たれてきました。 私がいなくても回る、そんなMissionを目指して、これからもスタッフと“一緒に”進んでいきたいと考えています。

地域に根ざし、未来をつくる

再生と循環のその先へ

当社の仕事は、表に出るような華やかなものではありません。
しかし、小さな再生の積み重ねが、誰かの人生を支えていると信じて取り組んでいます。
私たちが関わるのは、破産した会社やそこに関わった方々の“再生”のほんの一部かもしれません。それでも、その一部分に全力を注げることに誇りを持っています。
だからこそ、これからも今やっていることを、ひとつひとつ確実に粛々と進めていくことが、私たちの使命だと考えています。

最近では、空き家再生にも挑戦しています。
自ら購入し、修繕したうえで必要としている方に貸し出す取り組みです。
シェルターとして利用する女性や、郊外で子育てを望む家族にとって、こうした場所があること自体が希望につながると感じています。

さらに、家具や家電をリユースして空き家に備え付ける仕組みも検討しています。
もともと廃棄されるはずだった物が、新しい暮らしのスタートを支える__
そんな素敵な循環が広がることを願っています。

また、市町村と連携して、ゴミの減量化に向けたライブオークションのプロジェクトも動かしています。 まだ使えるものを現金化し、行政に還元できる仕組みを通じて、未来に向けた“人のためになる循環”をさらに広げていきたいと思っています。

Mission の仕事は目立ちませんが、確実に誰かの力になっています。
破産された方の人生や、未来の暮らしを少しでも支えることができれば、それだけで十分だと考えています。

「誰かの役に立つこと__それこそが、何よりの生きがいになるのではないでしょうか?」

そんな想いが、今日も私たちを前に進ませています。

会社情報

会社名略称. 株式会社Mission
勤務先名 株式会社Mission
本社住所 新潟県見附市今町1-15-6
代表者名 代表取締役社長 栗林 巧様
1年後〜3年後の目標 表に出る仕事じゃなくても、確実に“誰かの再生の一部”を担っている。
その積み重ねを、これからもひとつずつ丁寧に続けていく。目の前の仕事に誠実に向き合いながら、3年後も今の想いのままに、信念を持ってやれていればそれでいいと思ってるんです。
新規事業・チャレンジしたいこと \空き家再生事業/
築古の空き家や工場を自ら取得・再生し、必要とする方に貸し出す取り組みを開始。住宅ローンを組めない家庭や、シェルター代わりに使う女性たちの安心して暮らせる場所。それを空き家再生の先に描いているんです。家具・家電リユースも視野に入れ、地域の“住”に希望を届けたいですね。

\ゴミ減量化プロジェクト/
廃棄物の中に埋もれた価値ある動産を掘り起こし、ライブオークションを通じて現金化。行政や企業へ還元し、社会に循環する仕組みを構築中。将来的には自治体連携を強化し、地域活性にも貢献したいと考えています。

こんな人に会いたい ワンピースの白ひげ海賊団みたいな“家族”を作りたいんです。感情をもって叱れるのも、愛があるから。育ててもらった恩は、次に渡していきたい。将来“オヤジ”と呼んでくれるような仲間がいたら、こんなに嬉しいことはないです。人生の先輩方からまだまだ学びたいし、未来を一緒に創れる仲間に出会いたいですね。
事業内容 動産換価事業

取材者情報

今回の社長へのインタビュアーのご紹介です。
「話を聞きたい!」からお問い合わせを頂いた場合は運営会社の株式会社採用戦略研究所を通して、各インタビュアー者よりご連絡させて頂きます。

取材者名 ㈱採用戦略研究所 小林
住所 新潟県長岡市山田3丁目2-7
電話番号 070-1476-9740
事務所HP https://rs-lab.jp/

話を聞きたい!