未来志向経営者インタビューサイト「新潟社長図鑑」

走り続けると決めた。ガトーベニヤとオートライフ、夫婦で挑む“あたたかな継承”【代表 酒井 理恵氏】

株式会社 ガトーベニヤ

あの日、走り出した

25歳、人生のスタートライン

実は私、かつてプロのレーサーをしていました。サーキットを走る毎日で、アクセルと共に心も走らせていた日々──あの情熱は、今の私にも確かに生きています。

車に夢中になったのは、25歳のときでした。 それまではただのドライブ好きで、走ること自体が好きだったんです。でも、あるときレースカーに触れる機会があり、まるでフィギュアスケートを滑ってるみたいに、車が自分の操作でくるくる舞う姿に衝撃を受けたんです。

その一歩が、私の人生を大きく変えました。

そこからはもう、がむしゃらでした。とにかく「レースがしたい」その一心で毎日を生きていました。走るためにはお金も必要だから、自分で居酒屋を立ち上げて、空いた時間は喫茶店でバイトして必死に働いていました。

それでも、自分の“好き”のためだったので不思議と苦じゃなかったんです。努力はちゃんと形になり、結果も出て、スポンサーもつき、プロのレーサーとして胸を張れる時間だったと思います。

「やってやったぞ!」って、あの頃の私は確かにそう思ってました。あれは私の“キラキラ時代”。誇れる青春です。

だけど、プロとして結果を求められる毎日には、想像以上のプレッシャーがありました。「楽しくて始めたはずなのに、なんでこんなにしんどいんだろう」って、ふと立ち止まりそうになるときもありました。

そんなとき、グアムの大会に日本代表として声がかかったんです。正直、心は揺れていました。でも、覚悟を決め挑んだあのレース。結果は優勝。あれは私の中でも大きな転機でした。

そして、運命の出会いも待っていました。日本人関係者の中には私のことを知っている人も多くて。その中に、整備士としてグアム大会に来ていた今の主人がいたんです。背が高くて、大柄で、存在感バツグン(笑)

最初はあいさつ程度の関係だったけど、不思議と印象に残っていて。翌年また同じ大会に出たとき、再会し──気がついたら私、新潟に来てました。

あのグアムの空の下で出会わなかったら、今の私はいなかった。あの瞬間が、私たちの新しい人生のスタート地点だったんです。

「お菓子屋やってみない?」

夫婦でアクセルを踏んだ日

新潟に来てからしばらくして、異業種交流の場で知り合った方から突然のひと言。「二人とも、勢いあるからお菓子屋継いでくれないかな?」と。

最初は「いやいや、お菓子なんて未知の世界…」って思ったんですよ。でもうちの主人、なんでもやると決めたら真っすぐ突き進む人で、「やってみよう!」って言っていました。私がいつもはブレーキをかけるほうなんだけど、そのときはなぜか、私も迷わず一緒に走り出してました。

でも、いざ引き継いでみたら、本当に何もわからないことだらけでした。マニュアルもなく、カレンダーの裏に先代の覚書が書いてあるだけ。しかし、読めない、解読できない、お手上げ状態でした。

そんな中で、残ってくれた職人さんたちの存在が、本当に支えでした。おかげで、かりんとう饅頭、紅ポー、水ようかん──先代から続く味を守りながら、新しいことにも挑戦できたんです。

「無理しなくていい。得意なことでいい。一緒に前に進もう」って、何度も伝えました。年齢も重ねていらっしゃる中で、必死にレシピを見直して、試行錯誤してくれて。あの姿がなかったら、今のガトーベニヤはありません。感謝しかないんです。本当に。

焼きたての匂いとともに

「ここに来ると元気になる」

最初の頃は工場での菓子作りや道の駅への卸だけで、販売店舗はなかったので、「あのお菓子屋さん、もうなくなっちゃったの?」って、地域の人に廃業したと思われていました。

でも、私たちは諦めませんでした。
「私たちが引き継いだ意味を、もっとちゃんと届けなきゃ」と思い、2人でイベントに出店して、顔を出し、地道にコツコツやってきました。

そして、ようやく店舗を構えることができてお客様と直接お話できる場所ができました。やっと“顔が見える”お店になれたんです。

「理恵さんの笑顔見ると元気になるよ」って言ってくれる方もいて、子どもが小さなお財布持って買いに来てくれる。そんな日々が、もう本当にうれしくて。


うち、買い物しなくても全然いいんです。ただ立ち寄ってくれて、元気になってくれたら、それが一番なんです。

今もエンジン全開

整備も、お菓子も。二人三脚で支え合って

オートライフは、もともと主人が一人で立ち上げた整備屋です。男手ひとつで子どもを育てるために、自分で仕事をはじめたと聞いてます。

販売よりも整備に特化していて、車検やオイル交換はもちろん、プロのスポーツカーやレース仕様の特殊車両、さらにはバイクの修理まで幅広く対応しています。技術も経験もあるから、「ここに持ってくれば安心だよね」って言ってもらえることが増えました。

中でも、タイヤピットの加盟店になったことで、新しいお客様とも繋がれるようになったのは大きいです。ネットで注文したタイヤをうちに直送して、作業だけ依頼されるお客様も多いですし、そこから会話が生まれて、「またお願いします」ってリピーターになってくれる──そんなやり取りが、すごく嬉しいんです。

車離れが進む中で、どんな世代のお客様にも「頼れる場所」であることを目指してます。

私たち、いつも笑ってるように見えるかもしれないけど、本当にギリギリなことも多くて。でも、何を乗り越えるのも二人じゃなきゃ無理でした。お互いを助け合いながら、「決めたらやる」「やるなら楽しむ」──それだけを信じて、走ってきました。


大きくなくていい

けれど、温かく続けたい

将来のことを考えると、課題もたくさんあります。職人さんはベテラン勢ですが、後継者はいません。今後どうしていくかは、正直まだ模索中です。

でも、大きくする必要はないと思ってるんです。「あそこに行けば元気になれる」って思ってもらえるような、そんなお店であれたら十分。

今、うちには素敵なスタッフさんたちがいて、それぞれの場所で一生懸命頑張ってくれています。その姿を見るたびに、「私ももっと頑張らなきゃ」って思うんです。指示ばかりするんじゃなくて、まずは自分が背中を見せなきゃいけない。

それに、今ここにある“味”や“空気感”は、簡単に真似できるものじゃないんです。長く続いてきたからこそ生まれたもの。だからこそ、守り続ける価値があると思っています。

完璧じゃなくていい。でも、みんなが立ち寄って、あったかい気持ちで帰れるような──そんな場所を、これからも夫婦で、そして仲間たちと一緒に育てていきたいです。

会社情報

会社名略称. 株式会社 ガトーベニヤ
勤務先名 ガトーベニヤ本社工場直売店、オートライフSRS
本社住所 新潟県見附市今町1丁目2-13、新潟県長岡市宝1丁目2-18
代表者名 取締役 酒井 理恵様
1年後〜3年後の目標 地域の“行きつけ”として、もっと多くの人にとっての「ほっとする場所」になること。

お菓子も車も、「ちょっと寄っていこうかな」と思えるような、お客様にとって身近な存在でありたいです。

さらに、働く仲間たちにとっても「ここで働けてよかった」と思える職場づくりを目指して、待遇や働きやすさも少しずつ整えていきたいと考えています。
こんな人に会いたい 好奇心旺盛で、素直に頑張れる子。車が好きでも、お菓子が好きでも、「やってみたい」という気持ちがある人に出会いたいです。

一緒に楽しみながら、お店づくりをしていけたらうれしいですね。
事業内容 製菓業(和菓子製造・販売業)
メッセージ ぜひご覧ください♪
【Instagram】@beniya_mitsuke @auto_life_srs

取材者情報

今回の社長へのインタビュアーのご紹介です。
「話を聞きたい!」からお問い合わせを頂いた場合は運営会社の株式会社採用戦略研究所を通して、各インタビュアー者よりご連絡させて頂きます。

取材者名 ㈱採用戦略研究所 小林
住所 新潟県長岡市山田3丁目2-7
電話番号 07014769740
事務所HP https://rs-lab.jp/

話を聞きたい!