未来志向経営者インタビューサイト「新潟社長図鑑」

職人から継承者へ──無農薬の「凄米」で挑む、新潟発のブランド米 【代表 猪股 裕樹氏】

株式会社 N’ism

僕が継承を決めた理由

農家でないことを逆に強みにした発想

実は僕、この会社を継いだ立場なんです。
もともとは建築関係の職人として、20年ほどサラリーマンをしていました。
現場で汗を流す毎日でしたが、ある日ケガをしてしまい、その仕事を辞めることに。
新たな仕事を探していたときに、立ち上がったばかりのこの会社と出会いました。

その頃の会社は、お米・化粧品・水質浄化など、いくつもの部門を抱えていて、
僕はその創業期から現場に関わらせてもらうことになりました。

そして5年後、転機が訪れます。
水質浄化の事業が忙しくなり、創業者はそちらをメインに活動するように。
そこで僕が、この会社を引き継ぐことになったんです。

ただ、僕は農家の出身でもなければ、農業の専門家でもありません。
でも、だからこそできることがあるんじゃないかと考えています。
“農家ではない視点”だからこそ、柔軟にチャレンジできることもある。
たとえば、無農薬での米づくりにも、そんな発想から踏み出しました。

そして完成したのが、自信作の「凄米(すごまい)!!」。
名前の通り、“すごいお米”を目指して、土や自然、環境と真っすぐ向き合いながら、日々挑戦を続けています。

「凄米」誕生秘話――名前の裏にあるエピソード

ちょっと笑えて、ちょっと誇らしい話

「すごい名前にしようぜ」
これが、「凄米(すごまい)」という名前が生まれた最初のきっかけでした。

当時、会社の社長と僕、そしてもう一人のメンバー。3人で何時間も名前を考えていたんです。
候補はいくつも出たんですけど…どれもピンと来ない。というか、全部ちょっとダサくて(笑)。
でも、「すごい」ってことだけはどうしても伝えたかったんですよね。

そこでふと、「もう、凄米でよくない?」と。
あまりにシンプルなんだけど、その潔さが逆にいい。
みんなで「それだ!」となって、名前が決まりました。

そしていまでは、その凄米が、ちょっとすごい展開を迎えています。
なんと、伊勢神宮に奉納されてたお米なんです。

これも偶然のご縁でした。
凄米を新潟で広げていた頃、三重県のある農家さんから連絡をいただきました。
「うちでも、ぜひ“凄米”を作らせてほしい」と。
話を聞くと、その農家さんはもともと伊勢神宮に奉納されていた方で、
せっかくなら凄米として奉納できたら面白い、そんな思いから協力することに。

そこから、「凄米」は伊勢神宮に奉納されたお米として、
ひとつのブランドとしての誇りも背負うようになりました。

名前の由来はちょっとゆるくて笑えるけれど、
その裏にはちゃんと“すごい”物語がある。
そんなお米なんです。

無農薬で届ける、あたたかい一粒

想いを込めて育てた、“すごいお米”のかたち

僕たちのお米づくりは、実は最初から無農薬。
創業当初から一貫して、「自然にやさしく、身体にもやさしいものを届けたい」──その想いをずっと大切にしてきました。

もちろん、僕自身が田んぼに立っているわけではありません。
けれど、無農薬でのお米づくりは、契約農家さんとともに築いてきた信頼の証です。
「こういうお米を届けたい」と僕たちの想いを伝え、
その想いに共感してくださった農家さんが、手間ひまかけて育ててくれています。

化学肥料も、農薬も使わない。
決して効率のいいやり方ではないし、失敗だってあります。
でも、「大切な人に食べてほしい」と思えるお米を届けたいなら、
やっぱりこれしかないと思ったんです。

新潟という米どころの地で、
“自然のまま”を大切にする姿勢は、今も変わっていません。
農業のプロではない僕たちだからこそ、
その背景や想いまで、ちゃんと伝えていく責任があると感じています。

実際、凄米を食べてくださった方からは、うれしい言葉をいただくこともあります。

「お米の甘味が伝わってくる、あたたかい味だね」
「昔、小さい頃に食べたお米の味に似ていて、懐かしくなったよ」

そんな声を聞くたびに、「やっててよかったな」と、心から思います。
効率よりも、安心。スピードよりも、丁寧さ。
“すごい名前”だけじゃない、「凄米」の本当のすごさは、
きっと、こういうところにあるんじゃないかと思っています。

自然と向き合う日々。凄米を“商品”以上の存在に

「価値」をわかってくれる人に届けたい

安定しないからこそ、信念が試される。

お米づくりは、思っている以上に自然任せの仕事です。
「去年うまくいったから今年も大丈夫」とは限りません。
天候ひとつで、出来は大きく左右される。そんな不確かさと、いつも隣り合わせです。

「正直、まだ“これが正解”っていうやり方は見つかっていません。
毎年のように試行錯誤して、少しずつ“うちに合うやり方”を探っている段階です」

それでも、僕たちは前を向いて進み続けています。
ありがたいことに、凄米は今では海外への輸出も行っており、
少しずつ“すごいお米”としての評価も広がっています。
毎年コンクールにも挑戦し、名前に恥じない結果を残していけるよう、地道にチャレンジを重ねています。

販路についても、僕たちには明確な考えがあります。
それは、「価値をわかってくれる人に届けたい」ということ。
だから、あえてスーパーには置いていません。

「新潟の人って、親戚や知り合いから美味しいお米をもらう機会が多いと思うんです。
だから僕たちは、新潟のお米にあまり馴染みのない人たち──県外や海外の方に向けて届けたいと思っているんです」

どこにでも売るのではなく、ちゃんと届いてほしい人に届くように。
それが“凄米”というブランドの、大切にしている姿勢です。

そしてもうひとつ大事にしているのが、“買って終わり”にしないこと。
「お米を買ってもらって終わり」ではなく、
その後も長くつながっていきたい──そんな想いから、SNSでの情報発信にも力を入れています。

日々の田んぼの様子、農家さんとのやりとり、試行錯誤の過程。
そういった何気ない日常を丁寧に伝えることで、
共感してくれるリピーターやファンとの距離が、少しずつ近づいていく。

お米という“商品”を超えて、想いとともに育てていく存在へ。
それが、僕たちが目指している「凄米」のあり方です。

つながりを力に、新潟から世界へ。これからの「凄米」

凄米の未来

凄米のこれまでの歩みには、
たくさんの“人とのつながり”があった。

契約農家さんとの信頼関係。
商品名を一緒に考えてくれた仲間。
三重県の農家さんとの偶然のご縁。
ひとつひとつの出会いが、凄米の今をつくってきた。

「僕自身は農業のプロじゃないけど、だからこそ“伝える”ことには責任を持ちたい。
農家さんの想いも、土地の魅力も、ちゃんと発信していきたいと思っています」

僕が目指しているのは、ただお米を広めることではない。
新潟という土地の魅力や誇りを、もっと多くの人に知ってもらうこと。
そして、凄米を通して、新潟を“選ばれる場所”にしていくこと。

「世界にも、凄米を届けていきたい。
でもその根っこにあるのは、やっぱり“新潟を知ってほしい”という気持ちなんです」

こだわりのお米を、まっすぐな想いで届ける。
その一粒に、新潟の景色と、人の温かさを乗せて。

会社情報

会社名略称. 株式会社 N’ism
勤務先名 株式会社 N’ism
本社住所 新潟県新潟市中央区花町2069新潟花町ビル5階
代表者名 代表取締役 猪股 裕樹様
失敗談・成功談 苦労したこと
これまでやってきた中で、一番苦労したなと感じるのは、
化粧品事業をやめると決めたときかもしれません。

当時は、お客さんもついてくださっていて、
喜んで使ってくれる声もたくさんいただいていました。
だからこそ、やめると決めたときは、本当に心苦しかったです。

でも、全部を中途半端に続けるよりも、
「これから何に力を注ぐか」を考えたときに、
勇気を出して一歩踏み出すしかないと思ったんです。

今もあのときの決断は、自分の中で大きな節目だったと思います。
悩んだからこそ、今の“凄米”にしっかり向き合えているのかもしれません。

1年後〜3年後の目標 \目標は常に大きく/
今は、まだ僕ひとりでやっていけると思ってるんです。
できることを、自分の手で丁寧にやっていく。
そんな気持ちで、日々お米と向き合っています。

でも、やりたいことは、少しずつふくらんできていて。
「新潟には、こんなにいいものがあるんだよ」って、
もっともっと世界に向けて伝えていけたらいいなと思っているんです。

お米だけじゃなくて、
お米に合うおかずや、ちょっとしたセット商品なんかも作れたらいいなと。
あとは、贈り物としても楽しんでもらえるように、
**お米を包む“風呂敷”**も一緒に考えていけたら面白いな、って。

お米を入り口にして、新潟の魅力を少しずつ広げていく。
そんなふうに、凄米を通してつながっていく未来を、楽しみにしています。
こんな人に会いたい \理念に共感してくれたら/
最近、理念や会社の在り方について学ぶ機会が多くなりました。
事業を続けるなかで、「何をやるか」よりも「どんな想いでやるか」が、
すごく大事なんだと、日々感じています。

スキルがあるとか、経験があるとか、
そういうことよりも、僕が大事にしている考え方に共感してくれる人と一緒に働きたい。
そう思っています。
事業内容 米卸販売事業・環境エネルギーサービス業
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取材者情報

今回の社長へのインタビュアーのご紹介です。
「話を聞きたい!」からお問い合わせを頂いた場合は運営会社の株式会社採用戦略研究所を通して、各インタビュアー者よりご連絡させて頂きます。

取材者名 ㈱採用戦略研究所 土田
住所 新潟県長岡市山田3丁目2-7
電話番号 070‐6433‐5645
事務所HP https://rs-lab.jp

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