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惣の心を未来へ運ぶ__マルソー株式会社112年目の挑戦と継承 【代表取締役社長 渡邉 雅之氏】

マルソー株式会社

挑戦のはじまり

創業の原点と若き日の決意

渡邉家の先祖である・渡邉惣右衛門に由来した屋号である「丸惣」の「惣」文字には心の上に物を載せて運ぶという、創業時からの想いが込められています。

加茂市において、112年前に初代渡邉寅治が1人で創業した事業は、渡邉家4代を経て、26社1,500名を超えるマルソーグループへと成長。しかしその歩みは決して平坦ではありませんでした。

幼い頃から祖父より「お前は跡継ぎだ」と言われ、大学卒業後は修行のために東京で最新鋭の物流業を経験。学生である20歳の頃には起業も果たし、当時は年収3000万円を得るなどビジネスの世界でも結果を出していました。しかし、新潟に戻ってきた時に目にしたのは、東京で経験した洗練された物流の現場とはまるで違い、昔ながらのスタイルが色濃く残る物流業界。ハチマキ、雪駄、刺青……事故も多く、「なんてデタラメなんだ、これは変えなければ」と強く思いながらただ評論する姿に、「文句を言うならまず稼げ」と言った父の言葉に応え、引越部門を立ち上げ、自分なりのやり方で、わずか3年で目に見える成果を上げ、社内外からの信頼を勝ち取り、道を切り拓いていった。

継承とは、形だけのバトンではなく、覚悟と挑戦そのものでした。

人が変わる、職場が変わる

社内保育園がもたらした“誇り”の連鎖

34歳で社長に就任。その後、新規事業の失敗や子会社での不祥事などによる信用不安、会長である父からは毎日の様に罵声を浴びせられ、自ら命を絶とうと考えるほど追い込まれる日々が続きました。

転機は、創業百周年記念講演で出会った到知出版社の藤尾社長から聞いた“法脈”という考え方でした。血縁だから継ぐのではなく、師として親を敬う。その視点の転換が、自身の心を整え、覚悟が決まり意識を変えてくれたのです。

そして立ち上げたのが、新潟県第一号認可となった「企業主導型保育事業」による社内保育園。始めてみると会社にとっても非常に大きな価値をもたらしました。「マルソーに保育園ができたらしい」という噂が少しずつ広がったある日、シングルマザーの女性から連絡があったのです。

仕事もなく、産まれて間もないお子さんの預け先がなかった彼女を、マルソーは園児を預かると共に社員として迎え入れました。保育園と職場が同じ場所にある安心感は、働く母親にとって大きな安心感につながり、その姿は周囲の社員たちにも良い影響を与え、続々と同じ境遇の人たちが集まりました。

やがて、女性活躍の支援として始まった社内保育園は、男性ばかりだった職場の雰囲気を一新させ、男性社員のモチベーションアップや離職率の低下にもつながる明るい職場へと生まれ変わりました。今では新潟県の上・中・下越のグループ全体で7園にまで拡大しています。

社員がいきいきと働く姿は、会社の雰囲気を変え、やがて“誇れる会社づくり”へと自然に広がっていきました。

広がる共感とつながり

SNS発信から始まった、マルソーらしさの発信力

会社情報や社員紹介のひとつとして始めたSNS発信。きっかけは、私の直感で採用したひとりの新卒女性社員でした。彼女の感性あふれる自由な投稿が話題を呼び、「こんな会社で働きたい」「SNSを見て応募しました」という声が次々と届くようになりました。

実際、Instagramで日常的にマルソーの投稿を目にしていたというドライバー志望の方が、「雰囲気の良さが伝わってきた」と応募を決意。休みが取りやすく、社員同士の仲も良いという社内の様子に惹かれ、「自分に合っていると感じた」と語っています。

また、知人の紹介で入社を決めた社員もおり、「年齢や性別に関係なく活躍できる風土がある」と、その多様性にも魅力を感じてくれました。会社の透明性と働きやすさが、SNSを通して自然と広がっているのです。

結果として、若手や未経験の人財が増え、採用の幅も広がりました。職場の雰囲気がわかることで、こんなにも反響があるとは驚きでした。

さらに、就職後にミスマッチがあった場合でも、グループ内での異動制度や多様な働き方の推進も進め、「自分らしく働ける場所」としてマルソーグループを選ぶ人が増え、社員の頑張りが次の仲間を呼ぶ__そんな“好循環”が、いまのマルソーグループを支えてくれています。

物流の枠を超えて

地域に根ざし、社会を支える企業へ

マルソーグループの真価は、“ただの物流会社”にとどまらない点にあります。

そのひとつがM&Aによる事業拡大です。8年前の正月、父と息子と交わした家族会議での言葉。

「物流業は未来永劫なくならないと思っていたけれど、今後はAIや自動運転、ドローンなど技術革新の時代がやってきて大資本にかなわなくなる時が来る。」

この危機感から“時間を買う”という発想で、M&Aに着目。新しい収益の柱を持つという発想で、上越市の一般廃棄物収集運搬やリサイクルを行う・ウェスティックエナジーの取得でした。

以降、物流事業だけでなく、関連の事業領域を広げるという観点から15社がM &Aによりマルソーグループの仲間となり、合計26社のグループになりました。

さらに、物流効率を高める3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)にも注力。たとえば、かさばる日用品を複数メーカー分まとめて納品する「共同配送」では、物流コストの削減と作業の効率化を実現。メーカー側にも提案を重ね、理解と信頼を築きながら全国的にも珍しい共同化を展開してきました。

加えて、災害対応でも実績を残しています。阪神・淡路大震災では、前の年に事務系社員全員が取得していた大型免許が活かされ、全国に先駆けて救援物資の無償輸送を実現。日頃の備えと即応力が、戦後初の大災害を支援する力となりました。

マルソーそしてマルソーグループは、これからも物流という枠を超えて、地域と社会を支える存在として歩み続けます。

未来を紡ぐバトン

次世代とともに歩む道

会社がここまで成長してこられたのは、社員一人ひとりの力があってこそ。そして今、その想いと誇りを次の世代へとつないでいく準備も、着実に進んでいます。

私の息子は、先代から想いである「惣」の文字を入れて名付けていただいた「惣太」という名を持っています。現在は私が社長になった34歳になり、グループ会社の社長として経験を重ねています。先輩社員の背中から学び、仲間と対話しながら、少しずつ自分の役割を見出そうとしているその姿に、私自身も未来への希望を感じています。

時代は大きく変わっても、「物を心に載せて運ぶ」というマルソーの精神は、私たちの根底に脈々と息づいています。

これからも多様な人財が、それぞれのライフステージに合わせて働ける仕組みを整え、グループの総合力を活かしながら、新たな価値を社会に届けていく。

マルソー、マルソーグループの挑戦は、これからも未来へと続いていきます。

会社情報

会社名略称. マルソー株式会社
勤務先名 新潟流通SLC、新潟共配センター、新潟巻潟東SLC 新潟DDC、県央共配センター、 加茂SLC、三条SLC、長岡新産SLC、上越SLC、埼玉営業所 他
本社住所 新潟県三条市月岡字綾ノ前2783番地1
代表者名 代表取締役社長 渡邉 雅之様
1年後〜3年後の目標 社員が自分の子供を“ここで働かせたい”と思えるような会社になるように、もっと磨いていきたい。

安心して長く働ける場所にしたいです。また、採用面でも“未経験でも安心できる”という空気をもっと伝え、教育体制はしっかり整えているので、安全第一で、しっかりいちから伝えていきます。
こんな人に会いたい やっぱり明るくて元気な人がいいですね。サービス業ですから、お客様と接する機会も多いし、元気な人はやっぱりお客様にも喜ばれるんです。
事業内容 総合物流業(あらゆる人々の生活を支える物流事業全般)
メッセージ \HPもご覧ください/
【HP】https://www.maruso.co.jp/
【Instagram】marusooo1913

取材者情報

今回の社長へのインタビュアーのご紹介です。
「話を聞きたい!」からお問い合わせを頂いた場合は運営会社の株式会社採用戦略研究所を通して、各インタビュアー者よりご連絡させて頂きます。

取材者名 ㈱採用戦略研究所 小林
住所 新潟県長岡市山田3丁目2-7
電話番号 070-1476-9740
事務所HP https://rs-lab.jp/

話を聞きたい!