未来志向経営者インタビューサイト「新潟社長図鑑」

溶接から未来へ__切り開く、新しい価値創造【代表 羽賀龍二氏】

株式会社WingーD

父と離れ、そして新たな挑戦

独立の決意

私のものづくりの原点は、父が経営していたバフ研磨の会社での仕事でした。
最初は父のもとで、家族で力を合わせて会社を盛り上げようと頑張っていました。
5年ほどたった頃、もっと技術の幅を広げたいと思い、溶接の技術を学ぶために一度父の会社を離れ、別の会社で3年ほど修行をしました。

その後、再び父の会社に戻り、溶接と研磨を融合させた新しい事業を一緒に展開。10年近く、親子で同じ目標を追いかけてきました。
しかし、経営方針や考え方の違いから、次第に意見が食い違うようになってしまったんです。
最終的には、半分“破門”のような形で父の会社を離れ、独立する道を選びました(笑)。

当初は個人事業としてスタートしましたが、ちょうど1年前に法人化。
独立したときから、自然と「いつかは10~15人くらいの従業員がいる会社にしたい」というビジョンが浮かんでいました。

父と離れることは大きな決断でしたが、あの時間があったからこそ、今のWing-Dがあり、ものづくりへの想いが強くなったと感じています。

溶接と研磨の先へ“ものづくりの幅”を広げたい

うちの会社は、溶接と研磨をメインにやっています。
父の会社で学んだ経験を活かしながら、独立してから気づけばもう5年。
始めた頃からずっと思っていたのは、「もっと幅広く、自由にものづくりがしたい」ということでした。

溶接の仕事って、実は一枚の金属の板を曲げるところから始まるんです。
そこからTIG溶接でつなぎ合わせ、最後に研磨で仕上げる――これが一連の流れ。
私は、この“曲げる工程”からしっかりやれるようになりたいと思ったんです。
前工程から一貫してやれるようになれば、もっと面白いものづくりができるんじゃないかって。

燕ではTIG溶接が主流なんですが、多くの会社は溶接までで終わることが多い。
その点、うちは研磨まで対応できるのが大きな強みです。
特にバフ研磨は、ただ磨くんじゃなくて、光沢をしっかり出して、美しく仕上げる――これが本当に難しい。
でも、未経験から始めた従業員たちが、今では丁寧な仕事をしてくれるようになっていて、すごく頼もしいんです。

5年目を迎えた今、現場も任せられるようになり、少しずつ会社全体を見ながら動けるようになってきました。
まだまだ成長途中ですが、みんなと一緒に“ものづくりの可能性”を広げていきたいと思っています。

納期との戦い、そして“続けていく責任”

経営者としての責任

苦労してきたことを挙げるとすれば、やっぱり一番は納期ですね。
同じ時期にいくつもの会社から注文が重なったときは、本当に大変です。
今の時代は特に短納期の依頼が多く、調整をしても「もう少し早くできないか」とお願いされることもあります。
お客様の要望には応えたいですし、なんとか頑張ろうと思うんですが、正直ギリギリの時もあります(笑)。

製造業あるあるだと思うんですが、大型連休がある月は特に依頼が集中します。
ありがたい悩みなんですけど、現場はかなりバタバタしますね。

そして、もう一つの課題は「この会社をどう長く続けていくか」。
経営者として、資金面や会社のあり方、今後の方向性を考えることは避けられません。
現場で作業をしながら、どうしたらもっと会社を安定させられるか、社員が安心して働ける環境をつくれるか──
日々、経営者としての責任の重さを実感しています。

挑戦し続ける理由

家具とコーヒーが生む新しいつながり

納期や経営の悩みに向き合いながらも、ずっと心の中で思っていたことがあります。
「このまま、溶接と研磨だけで終わっていいのか?」
自分の仕事の意味や会社の未来を考えるたびに、
「もっと人の役に立てることをしたい」という想いが強くなっていきました。

そんなとき、ハウスメーカーで働く友人と木工職人の友人と、何気なく交わした会話がきっかけになりました。
「ブランドを作りたいよね」──その一言から、自然と「じゃあ、やってみようか」という話になったんです。
住宅提案の中で家具も一緒に提案できるように、木工職人の友人が天板を、私が足を作り、
オリジナル家具ブランド「Kuttuku(くっつく)」が誕生しました。
現在はネット販売を中心に、オーダーを受けてから一つひとつ丁寧に制作しています。

この挑戦の背景には、独立当初の迷いがあります。
「溶接と研磨だけが自分の全てなのか?」と自問自答する日々。
そんなある日、製品を納品した取引先から「ありがとう、助かったよ」と言ってもらえたんです。
その瞬間、“自分は誰かの助けになる仕事をしなければいけない、したい”と心から思うようになりました。
それが、これからの事業の目的を決める大きなきっかけになりました。

さらに、「個人のお客さんにも喜んでもらえることをしたい」と考えていた頃、
妻と話す中で「食って、人の幸せに直結してるよな」と気づいたんです。
そこから飲食関係の事業にも興味がわきました。
当時入社した社員がコーヒー好きで、豆を挽いて自分で淹れるという話を聞き、
ふたりで盛り上がりながらアイデアを膨らませていったんです。
彼が買ってきた豆を一緒に挽いて飲むうちに、気づけば移動型コーヒースタンドの話がトントン拍子で進み、半分は“ノリと勢い”で実現しました(笑)。

それが、移動型コーヒースタンド「CROSS ROAD」です。
さまざまな場所で、いろんな人と出会い、そこから新しいつながりや価値、そして笑顔が生まれる場所にしたい。
そんな想いで始めました。コーヒー豆もこだわり、従業員と飲み比べて選んだ豆を使用しています。
もしブルーグリーンのキッチンカーを見かけたら、ぜひ気軽に立ち寄ってくださいね。

社員と共に、未来へ

働くことが“生き甲斐”になる会社を

一日の大半を占める仕事の時間。
だからこそ、そこが充実していないと人生そのものがもったいないと思うんです。
朝起きて「仕事に行きたくないな」と思うより、
前向きな気持ちで会社に来てもらえるように――
社員にとって“生き甲斐になる会社”をつくりたいと思っています。

社員がミスや失敗をしても、それを成長の糧にしてほしいから、
頭ごなしに厳しく叱ることはしません。
もちろん、人として間違ったことをしたときにはきちんと叱りますけどね(笑)。
それでも、何かあれば「社長に話そう」と思ってもらえるように、
話しやすい環境づくりを大事にしています。

社員への想いは、時にちゃんと伝わっているのか不安になることもあります。
でも、しっかり話し合いながら、解決の道を一緒に探し、
少しずつ信頼関係を積み重ねてきました。

そして、もうひとつ大事にしているのは、
この地元・燕市のために、自分ができる形で地域貢献を続けていくこと。
会社の未来も、社員の未来も、そして地域の未来も、
一歩ずつ、みんなで育てていきたいと思っています。

会社情報

会社名略称. 株式会社WingーD
勤務先名 株式会社WingーD
本社住所 新潟県燕市吉田法花堂1853‐11
代表者名 代表取締役 羽賀 龍二様
1年後〜3年後の目標 うちの会社には、女性社員も何名かいます。
もっと女性が輝ける事業をつくりたいと、今いろいろと模索しています。

パート社員の中には、レジンを使ったアート作品づくりがものすごく上手な人がいて、
その才能をどうにか世に出せないかと考えているんです。

また、移動型のキッチンカーだけでなく、
いずれは店舗を構えて、誰もが気軽に集まれるような場所を作りたいという想いもあります。
仲間とお客様が自然に集まり、笑顔が広がる――
そんな場所を目指して、これからも挑戦を続けていきます。
事業内容 溶接・研磨・オーダー家具製作販売・コーヒースタンド(キッチンカー)
その他 こちらもご覧ください!
wing-d.jp(ホームページ)
@crossroad_2023(Instagram 移動型コーヒースタンドCROSS ROAD)

取材者情報

今回の社長へのインタビュアーのご紹介です。
「話を聞きたい!」からお問い合わせを頂いた場合は運営会社の株式会社採用戦略研究所を通して、各インタビュアー者よりご連絡させて頂きます。

取材者名 ㈱採用戦略研究所 土田
住所 新潟県長岡市山田3丁目2-7
電話番号 070‐6433‐5645
事務所HP https://rs-lab.jp

話を聞きたい!