未来志向経営者インタビューサイト「新潟社長図鑑」

眼鏡は仮面、自分を演じる舞台道具__古町「Person‐A」が拓く、新しい視界【代表 長谷川隆大氏】

Person‐A(パーソンエー)

剣道から演劇へ

表現の原点

僕は三条市の出身です。中高は剣道で、二段。
中学生の頃はアニメをきっかけに声優に憧れて、友人と台本を買って練習をしていました。
高校卒業の年、新潟に劇団ひまわりの養成所ができて、僕はそちらで5年半、演劇に没頭した。
結果だけ言えば「才能がない」と悟って舞台を降りたが、その時間で学んだことは身体で表現すること、相手を観察して役に入り込むこと、そして自己肯定感の土台がない演技は空っぽになることを叩き込まれました。今の僕の接客やフィッティングの「眼」と「芯」は、そこで育ったものです。 

伊勢丹での修業

社会人としての目覚め

演劇をやめた僕が次に選んだのは、ハローワークで偶然見つけた新潟伊勢丹の眼鏡店でした。正直なところ、最初は「伊勢丹」という名前に惹かれただけ。

右も左も分からない新人で、社会人としては未熟そのもの。よく怒られてばかりで、歓迎会では「無礼講です」と言われ、本気で無礼に振る舞って叱られたこともあります(笑)

けれどその職場で学んだのは、周りを見ること、空気を読むこと、相手を感じ取ること。演劇で培った“我の強さ”を少しずつ削り、社会人としての自覚を育てる日々でした。

入社2年目には通信教育で学び、眼鏡作製技能士(国家資格)を取得。資格は肩書きにすぎませんが、学び続ける姿勢が仕事の質を確実に変えていくことを実感しました。

眼鏡は仮面

印象を操るデザインの力

私はもともとシャイで、人前に立つことが得意ではありません。
けれど舞台に立ち、役をまとうと、不思議と人の目を見て堂々と話すことができたんです。
その経験から、僕にとって「眼鏡は“仮面”」のような存在だと感じるようになりました。フレームという小さなフィルターが、人の中に眠っている別の役柄を引き出してくれる。

たとえば、丸みを帯びたフレームにアースカラーを合わせれば柔らかく穏やかな印象に。逆に、エッジの立った造形にクリアなレンズを選べば、凛とした知的さや強さが際立つ。
顔という舞台の目のまわりをデザインするだけで、他者に与える印象は驚くほど変わります。

だから僕は、「黒縁が定番だから」「誰々が掛けているから」といった理由では勧めません。
大切なのは、あなたの人生という舞台で、どんな役を演じたいか。その役柄を引き出す一本を、一緒に見つけていくのが僕の役割だと思っています。

フィッティングと観察力

「似合わない」を変える瞬間

低価格の量販店では、どうしてもオペレーションが優先されがちです。結果として、一人ひとり異なる顔の非対称に合わせた細やかなフィッティングまでは届かないことが多い。
右耳がわずかに低い、鼻の高さが少し違う__そんな差は誰にでもあります。けれど、そのわずかなズレが掛け心地や見え方に大きく影響します。

僕の強みは、演劇で磨いた観察力と、伊勢丹時代から評価いただいてきたフィッティングの技術です。
ある日、一人のお客様が「どれを掛けても似合わない」と肩を落としていました。
僕はその方に、あえて“絶対に自分では選ばない一本”をそっと差し出しました。恐る恐る掛けた瞬間、鏡の前でその方の表情がふっと変わったんです。
「……自分じゃないみたい。私、こんなの掛けられるんだ」
その小さなつぶやきに、僕ははっきりと感じました。自己肯定感が動く瞬間を。

眼鏡は生活の一部です。痛くない、ズレない、軽やかに視界が開ける。その当たり前を丁寧に整えてこそ、デザインの“効き目”が最大限に発揮される。
掛け心地は、気分に直結するデザイン。僕が大切にしているのは、ただ「似合う」を探すことではなく、掛けた人の心まで変える一本を一緒に見つけることなんです。

古町でつくる舞台

人生という物語に寄り添う店

街並みや人の流れ、そして協業できる仲間の店が多いこと__その理由から僕は古町を選びました。
予約優先にしているのは、一人ひとりとじっくり向き合う時間を守りたいから。

店を大きくしたり、多店舗展開をするつもりはありません。僕が見て、僕が整えることにこそ意味がある。
だからこの場所を、ふらっと立ち寄れるサロンにしたいんです。曲がったフレームを直しに来るのもいい。世間話をしに、飲み物を飲みに寄るのもいい。そんな何気ないひとときから、一本との出会いが生まれる場所に。

そしてもう一つ。お店の壁にはシェイクスピア『お気に召すまま』の一節を掲げています。
「All the world’s a stage」__人生は舞台、人はみな役者。
眼鏡を通して、あなたが“自分という役”をもっと好きになれるように。僕はその袖幕から、そっと背中を押す存在でありたいと思っています。

会社情報

会社名略称. Person‐A(パーソンエー)
勤務先名 Person‐A(パーソンエー)
理念・使命 眼鏡は、個性を引き出す仮面
魅力を見つけるアイウェアサロン
本社住所 新潟県中央区古町5番町630-2
代表者名 代表 長谷川 隆大様
1年後〜3年後の目標 これからの数年は、来店されたお客様が「眼鏡を選ぶ時間そのもの」を楽しんでもらえるように、空間やサービスをさらに磨いていきたいと思っています。古町という街に根づき、調整やお直しに気軽に立ち寄っていただけるようなメンテナンス文化を広げるのも目標のひとつです。お客様としっかり向き合うために、大きな組織にはせず、少人数体制を守りながら、このスタイルを続けていきたいですね。
新規事業・チャレンジしたいこと 今後は、イベントやセレクトショップとのコラボ企画を通じて、これまで眼鏡に縁のなかった方にも「眼鏡の楽しさ」を体験していただきたいと考えています。僕が大切にしている「眼鏡は仮面」というコンセプトを発信しながら、新しい価値観を共有できる仲間との協業も広げていきたいですね。
こんな人に会いたい 僕が会ってみたいのは、よく話し、よく聴ける人です。相手の表情の変化を敏感に感じ取りながら、次の会話へ自然につなげられるような人。そして、自分をかっこつけることを恐れず、自信として楽しめる人にも惹かれます。結局は、他人の正解ではなく自分の正解を探しながら生きている人。そんな人たちと出会い、一緒に時間を重ねていきたいと思っています。
事業内容 眼鏡小売業(接客・フィッティング・スタイリング提案)
メッセージ こちらもご覧ください!
【Instagram】@person_a_eyewear_salon

取材者情報

今回の社長へのインタビュアーのご紹介です。
「話を聞きたい!」からお問い合わせを頂いた場合は運営会社の株式会社採用戦略研究所を通して、各インタビュアー者よりご連絡させて頂きます。

取材者名 ㈱採用戦略研究所 小林
住所 新潟県長岡市山田3丁目2-7
電話番号 070-1476-9740
事務所HP https://rs-lab.jp/

話を聞きたい!