笑顔をつなぐ“思い出屋”クラウドファンディングで奇跡を呼び、社員と共に歩んだ遊園地の軌跡。【代表 髙橋修氏】
サントピアワールド株式会社
「明後日から園長」
数字と冬空と、再起動の朝
正直に言えば、サントピアワールドのことは名前を知っている程度でした。子どもを一度連れてきた記憶があるくらいです。
ところがある日、航空機部品製造会社時代の社長に「お前、行くか?」と声をかけられ、「行ってもいいですよ」と答えた瞬間から流れが変わった。気づけば“明後日から”サントピアワールドの席に就いていたのだ。航空機部品製造会社で働いていた自分にとって、遊園地はまったく未知の世界でした。
2011年、当時の社長の急逝とともに航空機部品製造会社社長が仮代表を引き受けていた。
20011年11月に民事再生の申請をして2012年6月に認めてもらい、2012年7月に現場入り。初めて数字を見たとき、直感したのは「このままでは続かない」という現実でした。冬は長い休園期間があるのに、社員は通年雇用。年間の3分の2の営業で、すべてをまかなう仕組み__これは無理がある。
閉園中の園内を歩くと、冷たい風が吹き抜け、雪明かりだけが空っぽの乗り場を照らしていました。静まり返ったメリーゴーランドを見ながら、「このままではここに思い出が残らない」と心の中でつぶやきました。
そこでまず取り組んだのは、“季節の壁”を崩すことでした。冬場には社員が外で働ける仕組みを整え、イベントを冬に仕掛ける。これまで「仕方がない」とされていた園の常識を、少しずつ見直していきました。
数字に追われる日々でしたが、毎朝ゲートの鍵を開けるたびに「ここでまだできることがある」と自分に言い聞かせていました。アトラクションや建物ではなく、ここで働くスタッフこそが園の未来をつくるのだと考えるようになっていきました。
ところがある日、航空機部品製造会社時代の社長に「お前、行くか?」と声をかけられ、「行ってもいいですよ」と答えた瞬間から流れが変わった。気づけば“明後日から”サントピアワールドの席に就いていたのだ。航空機部品製造会社で働いていた自分にとって、遊園地はまったく未知の世界でした。
2011年、当時の社長の急逝とともに航空機部品製造会社社長が仮代表を引き受けていた。
20011年11月に民事再生の申請をして2012年6月に認めてもらい、2012年7月に現場入り。初めて数字を見たとき、直感したのは「このままでは続かない」という現実でした。冬は長い休園期間があるのに、社員は通年雇用。年間の3分の2の営業で、すべてをまかなう仕組み__これは無理がある。
閉園中の園内を歩くと、冷たい風が吹き抜け、雪明かりだけが空っぽの乗り場を照らしていました。静まり返ったメリーゴーランドを見ながら、「このままではここに思い出が残らない」と心の中でつぶやきました。
そこでまず取り組んだのは、“季節の壁”を崩すことでした。冬場には社員が外で働ける仕組みを整え、イベントを冬に仕掛ける。これまで「仕方がない」とされていた園の常識を、少しずつ見直していきました。
数字に追われる日々でしたが、毎朝ゲートの鍵を開けるたびに「ここでまだできることがある」と自分に言い聞かせていました。アトラクションや建物ではなく、ここで働くスタッフこそが園の未来をつくるのだと考えるようになっていきました。
冬の挑戦
“思い出屋”のはじまり
サントピアワールドには長い冬の休園期間があります。12月から春のお彼岸まで、お客様の姿は途絶えます。けれど雇用は通年で守らなければならない。営業は年間の3分の2しかないという仕組みを初めて知ったとき、「このままでは続かない」と感じました。
そこでまず取り組んだのは、冬の働き方を見直すことでした。社員に派遣の仕事を用意し、冬の間も外で働けるようにしました。最初は反発もありました。「今まで働かなくても給与が出ていたのに、なぜ働く必要があるのか」といった声もありました。それでも「普通に働き、普通に収入を得ることが当たり前。それを取り戻さなければ再生はできない」と伝え、少しずつ受け入れてもらいました。
もう一つ挑戦したのが、冬の花火でした。雪に包まれた遊園地で花火を打ち上げれば、新しい来園のきっかけになるのではと考えたのです。社員6人が研修を受け、図面づくりから行政への届け出まで取り組みました。12月24日、150発の花火を打ち上げることができました。お客様から「来てよかった」という声をいただけたことは大きな励みになりました。
一方で、花火を終えた社員の口から出たのは「やっと終わった」という言葉でした。半年間の準備を「成功体験」としてではなく「任されたことが終わった」と感じている。その姿を見て、私は「社員のやる気を待つのではなく、自分がまず動き、場を示し続けなければならない」と考えるようになりました。
こうした取り組みを重ねるなかで、サントピアは単なる遊園地ではなく“思い出をつくる場所”だという考えが形になっていきました。アトラクションやイベントは手段にすぎない。大切なのは、お客様の心に残る時間をどうつくれるかだと考えています。
そこでまず取り組んだのは、冬の働き方を見直すことでした。社員に派遣の仕事を用意し、冬の間も外で働けるようにしました。最初は反発もありました。「今まで働かなくても給与が出ていたのに、なぜ働く必要があるのか」といった声もありました。それでも「普通に働き、普通に収入を得ることが当たり前。それを取り戻さなければ再生はできない」と伝え、少しずつ受け入れてもらいました。
もう一つ挑戦したのが、冬の花火でした。雪に包まれた遊園地で花火を打ち上げれば、新しい来園のきっかけになるのではと考えたのです。社員6人が研修を受け、図面づくりから行政への届け出まで取り組みました。12月24日、150発の花火を打ち上げることができました。お客様から「来てよかった」という声をいただけたことは大きな励みになりました。
一方で、花火を終えた社員の口から出たのは「やっと終わった」という言葉でした。半年間の準備を「成功体験」としてではなく「任されたことが終わった」と感じている。その姿を見て、私は「社員のやる気を待つのではなく、自分がまず動き、場を示し続けなければならない」と考えるようになりました。
こうした取り組みを重ねるなかで、サントピアは単なる遊園地ではなく“思い出をつくる場所”だという考えが形になっていきました。アトラクションやイベントは手段にすぎない。大切なのは、お客様の心に残る時間をどうつくれるかだと考えています。
スタッフは誇り
全員で“思い出”を回す
サントピアワールドの仕事の多くは接客です。ゲート、売店、レストラン、アトラクション運転、日中の点検も現場が担います。事務スタッフであっても必要に応じてゲートに立ち、全員で園を支えています。
園内は広く、一日の歩数が一万歩を超えることも珍しくありません。朝礼で顔を合わせても、その後はそれぞれの持ち場に入り、一日中同僚と会わない日もあります。そうした環境だからこそ、社員同士の関わりをつくる必要があると考え、月に一度「サントピアクション」という全体ミーティングを始めました。毎回違うチームを組み、目標を共有し合いながら意見交換を行います。
「その案を一緒に考えよう」「こうすれば伝わりやすいかもしれない」といったやりとりが生まれ、普段接点の少ない仲間同士が向き合える機会になっています。発表のあとは社員投票によるMVP表彰も行い、副賞として家族との食事券を渡しています。
外部講師を招いた研修やコーチングも継続しており、私自身も認定コーチとして1on1で社員と向き合っています。そうした積み重ねの中で、少しずつ前向きな意見が増え、雰囲気も和らいできました。
お客様からスタッフ宛てに「◯◯さんに会いに来た」と声をかけられることもありますし、「この前の対応が嬉しかった」と手紙をいただくこともあります。そうした一つひとつの出来事に触れるたび、スタッフがこの園の価値をつくっているのだと感じます。
私は園長として、アトラクションやイベントだけでなく、ここで働くスタッフそのものを誇りに思っています。人が成長すれば、組織も自然と前に進む。その循環をこれからも大切にしていきたいと考えています。
園内は広く、一日の歩数が一万歩を超えることも珍しくありません。朝礼で顔を合わせても、その後はそれぞれの持ち場に入り、一日中同僚と会わない日もあります。そうした環境だからこそ、社員同士の関わりをつくる必要があると考え、月に一度「サントピアクション」という全体ミーティングを始めました。毎回違うチームを組み、目標を共有し合いながら意見交換を行います。
「その案を一緒に考えよう」「こうすれば伝わりやすいかもしれない」といったやりとりが生まれ、普段接点の少ない仲間同士が向き合える機会になっています。発表のあとは社員投票によるMVP表彰も行い、副賞として家族との食事券を渡しています。
外部講師を招いた研修やコーチングも継続しており、私自身も認定コーチとして1on1で社員と向き合っています。そうした積み重ねの中で、少しずつ前向きな意見が増え、雰囲気も和らいできました。
お客様からスタッフ宛てに「◯◯さんに会いに来た」と声をかけられることもありますし、「この前の対応が嬉しかった」と手紙をいただくこともあります。そうした一つひとつの出来事に触れるたび、スタッフがこの園の価値をつくっているのだと感じます。
私は園長として、アトラクションやイベントだけでなく、ここで働くスタッフそのものを誇りに思っています。人が成長すれば、組織も自然と前に進む。その循環をこれからも大切にしていきたいと考えています。
クラウドファンディングが結んだ
“思い出”の力
2020年、コロナ禍でサントピアワールドは存続の危機に立たされました。感染拡大によって緊急事態宣言が出され、ゴールデンウィークの営業も中止に。年間売上の大部分を占める時期を失えば、経営は立ち行かなくなる状況でした。当時はまだ民事再生中で、金融機関からの融資にも頼れませんでした。
「お客様を喜ばせることと同じくらい、従業員の生活を守らなければならない」__そう考え、クラウドファンディングを立ち上げました。目標は5,000万円。夏まで会社を続けるために必要な最低限の金額でした。
最終日の24時間前になっても1,000万円が不足しており、厳しい状況が続きました。しかしその後、SNSで「サントピアを残したい」という声が広がり、全国から支援が寄せられました。企業からの大口支援はなく、支えてくださったのは個人の方々でした。最終的には5,500万円を超え、目標を達成することができました。
その期間中、忘れられない出来事があります。70代のおじいさんとおばあさんが事務所を訪ねてこられ、「ここは子どもや孫と来る大事な場所だから、なくなったら困る」と言って、封筒を差し出してくださいました。そこには「応援団」とだけ書かれており、名前も住所もありませんでした。リターンも辞退され、「ここが残ってくれればそれでいい」とだけ言い残して帰られました。
その姿を見送りながら、胸に迫るものがありました。多くの方々にとってここは「思い出の場所」になっている。クラウドファンディングは、改めてそのことを実感する機会にもなりました。
「お客様を喜ばせることと同じくらい、従業員の生活を守らなければならない」__そう考え、クラウドファンディングを立ち上げました。目標は5,000万円。夏まで会社を続けるために必要な最低限の金額でした。
最終日の24時間前になっても1,000万円が不足しており、厳しい状況が続きました。しかしその後、SNSで「サントピアを残したい」という声が広がり、全国から支援が寄せられました。企業からの大口支援はなく、支えてくださったのは個人の方々でした。最終的には5,500万円を超え、目標を達成することができました。
その期間中、忘れられない出来事があります。70代のおじいさんとおばあさんが事務所を訪ねてこられ、「ここは子どもや孫と来る大事な場所だから、なくなったら困る」と言って、封筒を差し出してくださいました。そこには「応援団」とだけ書かれており、名前も住所もありませんでした。リターンも辞退され、「ここが残ってくれればそれでいい」とだけ言い残して帰られました。
その姿を見送りながら、胸に迫るものがありました。多くの方々にとってここは「思い出の場所」になっている。クラウドファンディングは、改めてそのことを実感する機会にもなりました。
“思い出屋”として
これからの未来へ
サントピアワールドには、観覧車やジェットコースターなど32種類の遊具があります。全国的に見ても決して少なくはありません。ただ、私たちが一番大切にしているのは「ここで過ごす時間が、思い出になるかどうか」という点です。
少子化が進み、子どもの数は以前より減っています。その中で、ただ子ども向けの遊園地でいるのではなく、大人や年配の方も楽しめる場所でありたいと考えています。実際に80代の方々が同窓会でメリーゴーランドや観覧車に乗り、若い頃の名前で呼び合いながら笑う姿を見たことがあります。その光景は「思い出に年齢は関係ない」ということを改めて教えてくれました。
園内には、キャンプ場やサバイバルゲームのフィールド、ドローン練習場、ミニ四駆コースといった新しい施設も整えています。こうした取り組みは、社員や地域の方々がアイデアを出し合い、形にしてきたものです。遊園地という枠にとらわれず、多様な体験を通じて「また来たい」と思ってもらえる場所を目指しています。
サントピアワールドのパーパスは「遊びの力で、誰もが一歩ふみ出せる未来をつくる」。これを軸に、これからも地域の方々やお客様と共に歩みながら、思い出が積み重なっていく場所であり続けたいと思っています。
少子化が進み、子どもの数は以前より減っています。その中で、ただ子ども向けの遊園地でいるのではなく、大人や年配の方も楽しめる場所でありたいと考えています。実際に80代の方々が同窓会でメリーゴーランドや観覧車に乗り、若い頃の名前で呼び合いながら笑う姿を見たことがあります。その光景は「思い出に年齢は関係ない」ということを改めて教えてくれました。
園内には、キャンプ場やサバイバルゲームのフィールド、ドローン練習場、ミニ四駆コースといった新しい施設も整えています。こうした取り組みは、社員や地域の方々がアイデアを出し合い、形にしてきたものです。遊園地という枠にとらわれず、多様な体験を通じて「また来たい」と思ってもらえる場所を目指しています。
サントピアワールドのパーパスは「遊びの力で、誰もが一歩ふみ出せる未来をつくる」。これを軸に、これからも地域の方々やお客様と共に歩みながら、思い出が積み重なっていく場所であり続けたいと思っています。
会社情報
会社名略称. | サントピアワールド株式会社 |
---|---|
勤務先名 | サントピアワールド |
理念・使命 | 遊びの力で、 誰もが⼀歩ふみだせる 未来をつくる。 |
本社住所 | 新潟県阿賀野市久保1-1 |
代表者名 | 代表取締役社長・園長 髙橋 修様 |
1年後〜3年後の目標 | これからの数年で、もっと幅広い世代に楽しんでもらえる場を育てていきたいと思っています。子どもはもちろん、大人やお年寄りまで、「ここに来てよかった」と感じられる体験を増やすこと。そのために、社員一人ひとりが自分の力を発揮できる環境を整え、地域の皆さんと一緒に“新しい思い出”をつくっていきたいです。 |
新規事業・チャレンジしたいこと | 遊園地の枠を超えた体験づくりに挑戦していきます。例えば、親子で一緒に楽しめるレーザーガンを使ったサバイバルゲームや、世代を超えて盛り上がれるイベント。これまでになかった「ここだからできる」体験を企画し、多様な思い出のカタチを広げていきたいです。 |
こんな人に会いたい | 特別な資格や経験は必要ありません。大切なのは、人と関わることを楽しめる心です。お客様に寄り添い、仲間と支え合いながら「思い出をつくる仕事」に挑戦したい方。そんな人と一緒に働けるのを楽しみにしています。サントピアワールドは“思い出屋”として、これからも笑顔をつなぎ続けます。 |
事業内容 | 遊園地・テーマパーク業・接客・サービス職 |
メッセージ | \採用情報/ サントピアワールドで売店スタッフの募集です! 具体的には・・・ ・売店でのレジ ・商品の検品、陳列、販売 ・ゲームコーナー運営 ・軽食コーナー運営などです! ●GW、夏休みナイター時期以外の残業はほぼゼロ! ※夏休みナイター時期(7~8月)は月25時間程度の残業があります。 ●昼食は持参になりますが、繁忙期以外のタイミングでは食堂利用もOK! ◎月給 185,000円~ 昇給あり:年1回 賞与あり:年2回 ◎交通費 規定支給月上限18,000円 ◎勤務時間 平日→9:00~17:00 土日祝日→8:30~17:30 (休憩 60分実働 7~8時間) ◎休日・休暇 シフト制 週2日程度の休日になります。 希望休の申請OK! 毎月シフト組みをしております! 年末年始休暇あり(毎年5日程度) 有給休暇あり ◎待遇・福利厚生 ・マイカー通勤OK ・無料駐車場あり ・交通費支給 ・施設優待などあり ・退職金あり ・社会保険完備 \緑に囲まれた阿賀野市の遊園地で一緒にたのしく働きましょう!/ こちらもご覧ください! 【HP】https://www.suntopi.com/ 【Instagram】@suntopia_world |
取材者情報
今回の社長へのインタビュアーのご紹介です。
「話を聞きたい!」からお問い合わせを頂いた場合は運営会社の株式会社採用戦略研究所を通して、各インタビュアー者よりご連絡させて頂きます。
取材者名 | ㈱採用戦略研究所 小林 |
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住所 | 新潟県長岡市山田3丁目2-7 |
電話番号 | 070-1476-9740 |
事務所HP | https://rs-lab.jp/ |