花を暮らしのそばに__創業50年、地域に根ざし挑戦を続けるフレッシュはな正【代表 丸山裕介氏】
フレッシュはな正
創業の歩みと家業への想い
「暮らしのそばへ」
祖父の代では農家として、その後は「園芸」という新しい道に挑戦しました。
そして1975年、創業者である父が修業を経て三条の地で「フレッシュはな正」を立ち上げます。当時の花の主な用途は、今のようなギフトではなく、いわゆる“仏花”。創業期は露天市に束を並べ、少しずつ花を「暮らしのそば」へと広げていきました。
私はというと、大学を出て関東から地元に戻り、大手企業でサラリーマンをしていました。家業を継ぐなんて全然考えていなかったんです。でも、新潟駅構内の職場に父がよく顔を出すようになって__『なんでこんなに来るんだろう?』と思っていたら、ある日“そろそろ”とひと言。その言葉で『やってみようか』と決心し、家業に入ったのが12年前です。
父は現場を一手に担うオールラウンダーでしたが、私は花の技術を極めるより「経営を軸に」と役割を定めました。最初の頃は配達ばかりで『それはお前の仕事じゃない』と叱られたりもしましたが、試行錯誤を重ねるうちに、現場はスタッフに任せ、自分は全体の舵を取る。その体制が少しずつ形になっていきました。
そして1975年、創業者である父が修業を経て三条の地で「フレッシュはな正」を立ち上げます。当時の花の主な用途は、今のようなギフトではなく、いわゆる“仏花”。創業期は露天市に束を並べ、少しずつ花を「暮らしのそば」へと広げていきました。
私はというと、大学を出て関東から地元に戻り、大手企業でサラリーマンをしていました。家業を継ぐなんて全然考えていなかったんです。でも、新潟駅構内の職場に父がよく顔を出すようになって__『なんでこんなに来るんだろう?』と思っていたら、ある日“そろそろ”とひと言。その言葉で『やってみようか』と決心し、家業に入ったのが12年前です。
父は現場を一手に担うオールラウンダーでしたが、私は花の技術を極めるより「経営を軸に」と役割を定めました。最初の頃は配達ばかりで『それはお前の仕事じゃない』と叱られたりもしましたが、試行錯誤を重ねるうちに、現場はスタッフに任せ、自分は全体の舵を取る。その体制が少しずつ形になっていきました。
事業内容と強み
“需要をつくる”花屋として
今は小売をメインにしています。もともとは冠婚葬祭も幅広くやっていたのですが、コロナ前くらいから葬儀がどんどん小規模化して、仕事としては厳しくなってきました。そこで思い切って切り替え、「お店に来ていただくお客様」を大切にしながら、店頭で会話をしつつ花を選んでもらう__それが一番“はな正らしい”と思っています。
特に力を入れているのがプリザーブドフラワーです。既製品を仕入れてそのまま売るのではなく、素材を仕入れて店でアレンジし、一つの商品に仕上げる。色が鮮やかで長持ちするので、入院されている方や記念の贈り物を探している方から喜ばれます。生花が置けない病院でも贈れるため、年々ニーズが増えている分野です。
それから、うちは昔から「花屋がそんなことするの?」という挑戦が多いんです。地元のお菓子屋さんと組んでギフトセットをつくったり、三条本店では酒類販売免許を取得して“花×お酒”のギフトを提案したり。「需要は待つものじゃなく、自分たちでつくるもの」これはずっと変わらないスタイルですね。
最近では、万代の旧店舗跡に“お花の自動販売機”も設置しました。冷蔵で鮮度を保ち、毎日必ず入れ替えるようにしています。接客ができない分、「とにかく花は最高の状態で届ける」ことにこだわっています。採算はまだ試行錯誤ですが、人手不足や非接触ニーズにどう応えていくか__まずはやってみることが大事だと考えています。
特に力を入れているのがプリザーブドフラワーです。既製品を仕入れてそのまま売るのではなく、素材を仕入れて店でアレンジし、一つの商品に仕上げる。色が鮮やかで長持ちするので、入院されている方や記念の贈り物を探している方から喜ばれます。生花が置けない病院でも贈れるため、年々ニーズが増えている分野です。
それから、うちは昔から「花屋がそんなことするの?」という挑戦が多いんです。地元のお菓子屋さんと組んでギフトセットをつくったり、三条本店では酒類販売免許を取得して“花×お酒”のギフトを提案したり。「需要は待つものじゃなく、自分たちでつくるもの」これはずっと変わらないスタイルですね。
最近では、万代の旧店舗跡に“お花の自動販売機”も設置しました。冷蔵で鮮度を保ち、毎日必ず入れ替えるようにしています。接客ができない分、「とにかく花は最高の状態で届ける」ことにこだわっています。採算はまだ試行錯誤ですが、人手不足や非接触ニーズにどう応えていくか__まずはやってみることが大事だと考えています。
スタッフと現場
見えない作業の積み重ねが花を輝かせる
お花屋さんの仕事って、華やかなイメージを持たれることが多いんですが、実際は「冷たい・汚れる・虫がつく」なんていう現実もあります。生ものを扱う以上、鮮度が第一。お客様の手に渡るまでに欠かせないのは、見えないところでの下処理が欠かせません。だからこそ、キラキラした接客の裏には、地道な作業がたくさんあるんです。
思っていたイメージと違って驚く人もいますが、大前提として「花が好き」という気持ちがあるからこそ続けられるんだと思います。お客様に喜んでもらえた瞬間に「ああ、やっていてよかった」と心から思える。その積み重ねが、この仕事を支えているんです。
資格がなくても働くことはできますが、一定の技術水準を共通認識として持つことが大事です。だからこそ、入社してから資格取得を目指す人も多く、社内の誰もがサポート役になれる。自然と“学び合う雰囲気”が生まれていくんですよね。
ただ、人材育成にはどうしても時間がかかります。花は季節ものなので、たとえばひまわりの扱いは夏にしか教えられない。一年を通してやっとひと回りです。だから最低でも一年は働いてみないと、本当の意味で経験値は積み上がりません。
店舗ごとにも特色があります。三条市は中小企業が多いので、社長交代や周年祝いなどで胡蝶蘭の需要が一気に動きます。一方、新潟市は花屋さんが多く分散しているため、一本二本を買う常連のお客様が多い。だから在庫の抱え方も違えば、接客の工夫も違ってきます。仕入れは市場が中心ですが、最終的な“お店の雰囲気づくり”は担当スタッフの腕にかかっているんです。
現場を支えているのは、結局スタッフ一人ひとりの積み重ね。私は花の技術に一番詳しいわけではありませんが、日々工夫を重ねているスタッフの姿を見ると「すごいことをやっているな」と素直に思いますね。
思っていたイメージと違って驚く人もいますが、大前提として「花が好き」という気持ちがあるからこそ続けられるんだと思います。お客様に喜んでもらえた瞬間に「ああ、やっていてよかった」と心から思える。その積み重ねが、この仕事を支えているんです。
資格がなくても働くことはできますが、一定の技術水準を共通認識として持つことが大事です。だからこそ、入社してから資格取得を目指す人も多く、社内の誰もがサポート役になれる。自然と“学び合う雰囲気”が生まれていくんですよね。
ただ、人材育成にはどうしても時間がかかります。花は季節ものなので、たとえばひまわりの扱いは夏にしか教えられない。一年を通してやっとひと回りです。だから最低でも一年は働いてみないと、本当の意味で経験値は積み上がりません。
店舗ごとにも特色があります。三条市は中小企業が多いので、社長交代や周年祝いなどで胡蝶蘭の需要が一気に動きます。一方、新潟市は花屋さんが多く分散しているため、一本二本を買う常連のお客様が多い。だから在庫の抱え方も違えば、接客の工夫も違ってきます。仕入れは市場が中心ですが、最終的な“お店の雰囲気づくり”は担当スタッフの腕にかかっているんです。
現場を支えているのは、結局スタッフ一人ひとりの積み重ね。私は花の技術に一番詳しいわけではありませんが、日々工夫を重ねているスタッフの姿を見ると「すごいことをやっているな」と素直に思いますね。
地域とのつながり
“足を運べる距離”にある価値
今の時代、ネットでどこからでも花は買えるようになりました。でもやっぱり「お店に足を運んで、直接買いたい」というお客様がいるんです。一本だけでも、二本だけでも。その人にとって必要な花を、自分の目で見て選べる。そういう体験こそ、街の花屋の価値だと思っています。
最近は大学との取り組みも始めました。新潟薬科大学の研究ゼミの学生たちと一緒に、「新潟県産チューリップのブランド化」にチャレンジしています。新潟は切り花の生産量が全国でもトップクラスなんですが、まだまだ知名度が足りない。だからこそ、学生と一緒に名前の付け方や見せ方を考えて、もっと多くの人に知ってもらえるようにしたいんです。
「生産者がちゃんと潤うところまで持っていく」__そこまでやらないと意味がないと思っています。産地、学生、そして私たちのような小売店。みんなでつながって動けば、新潟の花の魅力はもっと広がっていくはずです。学生の発想力と現場の知見が合わさることで、地域の花文化を未来につなげる取り組みになると感じています。
最近は大学との取り組みも始めました。新潟薬科大学の研究ゼミの学生たちと一緒に、「新潟県産チューリップのブランド化」にチャレンジしています。新潟は切り花の生産量が全国でもトップクラスなんですが、まだまだ知名度が足りない。だからこそ、学生と一緒に名前の付け方や見せ方を考えて、もっと多くの人に知ってもらえるようにしたいんです。
「生産者がちゃんと潤うところまで持っていく」__そこまでやらないと意味がないと思っています。産地、学生、そして私たちのような小売店。みんなでつながって動けば、新潟の花の魅力はもっと広がっていくはずです。学生の発想力と現場の知見が合わさることで、地域の花文化を未来につなげる取り組みになると感じています。
やりがいとこれから
“フルオーダー”の花を届ける仕事
花屋に勤めて思ったのは、本当に特殊な仕事だということです。
例えば、お客様が「誰かに花を贈りたい」と思ってご来店される。まずはそのお客様ご自身が“お客様”になります。そして贈りたい相手のことを考えながら一緒に花を選び、その想いを聞きながら私たちが形にする。ここで目の前のお客様に喜んでいただける。でも、その花はさらに別の誰かに渡ります。受け取った方も笑顔になる。__つまり二重に喜びを届ける仕事なんですよね。
既製品を売るのとは違い、素材だけが並んでいて、その場で組み合わせて仕上げる。「完全フルオーダーのギフト」をお届けできる業種って、他にはなかなかありません。
一方で、業界全体を見れば需要は右肩下がり。だからこそ“どう需要をつくるか”が大事です。万代の自動販売機もそうですし、オンラインショップの再開も今年の課題として動き出しています。人手不足や生活スタイルの変化にどう応えていけるか__挑戦をやめずに、一つずつ形にしていきたいですね。
目の前のお客様を喜ばせ、その先の誰かも笑顔にする。その積み重ねが、花屋という仕事のやりがいであり、未来につなげたい価値だと思っています。
例えば、お客様が「誰かに花を贈りたい」と思ってご来店される。まずはそのお客様ご自身が“お客様”になります。そして贈りたい相手のことを考えながら一緒に花を選び、その想いを聞きながら私たちが形にする。ここで目の前のお客様に喜んでいただける。でも、その花はさらに別の誰かに渡ります。受け取った方も笑顔になる。__つまり二重に喜びを届ける仕事なんですよね。
既製品を売るのとは違い、素材だけが並んでいて、その場で組み合わせて仕上げる。「完全フルオーダーのギフト」をお届けできる業種って、他にはなかなかありません。
一方で、業界全体を見れば需要は右肩下がり。だからこそ“どう需要をつくるか”が大事です。万代の自動販売機もそうですし、オンラインショップの再開も今年の課題として動き出しています。人手不足や生活スタイルの変化にどう応えていけるか__挑戦をやめずに、一つずつ形にしていきたいですね。
目の前のお客様を喜ばせ、その先の誰かも笑顔にする。その積み重ねが、花屋という仕事のやりがいであり、未来につなげたい価値だと思っています。
会社情報
会社名略称. | フレッシュはな正 |
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勤務先名 | フレッシュはな正(三条本店)/フレッシュはな正(新潟店)/お花の無人販売所Hanasho owl/ koselig コーシェリ(新潟駅ビル内) |
本社住所 | 新潟県三条市旭町1丁目19−15 |
代表者名 | 代表 丸山 裕介様 |
1年後〜3年後の目標 | ここ数年は、コロナや店舗の変化で大きな動きが続いてきました。だからこそ、これからの1〜3年は基盤を整える期間だと思っています。新しく出した新潟駅構内の店舗も含め、まずは今の体制をしっかり安定させること。その上で、オンラインショップを再開して、より多くの方にはな正を身近に感じてもらえるようにしたいですね。大きなチャレンジよりも、既存の基盤を強くすることを優先していきます。 |
こんな人に会いたい | お花が好きであることはもちろんですが、何より大事なのは“コツコツと積み重ねられる人”。お花は生き物なので、日々の小さな変化に気づける感覚が必要です。それは花に限らず、仕事や人間関係すべてに通じる大切な姿勢だと思います。 そして、新しいことにも臆せず挑戦できる人。花業界は厳しい状況ですが、だからこそ工夫やチャレンジが未来をつくる。そんな気持ちを一緒に持って歩んでいける方に出会えたら嬉しいですね。 |
事業内容 | 小売業(生花販売)・フローリスト(販売・アレンジメント制作) |
メッセージ | こちらもご覧ください! 【HP】https://www.hanasho.info/ 【Instagram】 三条店:@hanasho_sanjo 新潟店:@hanasho_niigata お花の無人販売所Hanasho owl:@hanasho_owl koselig:@koselig2024 |
取材者情報
今回の社長へのインタビュアーのご紹介です。
「話を聞きたい!」からお問い合わせを頂いた場合は運営会社の株式会社採用戦略研究所を通して、各インタビュアー者よりご連絡させて頂きます。
取材者名 | ㈱採用戦略研究所 小林 |
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住所 | 新潟県長岡市山田3丁目2-7 |
電話番号 | 070-1476-9740 |
事務所HP | https://rs-lab.jp/ |