未来志向経営者インタビューサイト「新潟社長図鑑」

「直せるものは、生かす。」 修理・調律・音楽教室で広げる、人と音のつながり【代表 高橋 裕二氏】

有限会社高橋楽器

二代目としての歩み

“楽器商”というあり方

「一言で何屋さんか?」と聞かれたら、私たちは“楽器商”です。
楽器業界には、販売に強い店、修理や調律に強い店、教室が軸の店…いろいろあります。私たちは販売よりも“アフター”、つまり修理・調律と音楽教室に一番力を入れています。

私は二代目です。先代が昭和53年に独立し、当時はベビーブームの追い風もあって、ピアノや教育楽器がよく動いた時代でした。
私は専門学校を出てから楽器メーカーで調律師として勤務し、二十代で経験を重ね二十代後半で家業に戻ってきました。

時代は変わり、販売の力だけでは立ち行かなくなっている今。だからこそ“アフターに特化した楽器商”として、修理・調律を軸に音楽を支える形にシフトしています。

修理と調律でよみがえる音

アフターにかける想い

私たちの仕事の中心は、やはり「楽器の王様」といわれるピアノの調律や修理です。特に学校や幼稚園など公共機関からのご依頼が多く、現場に出向いて調律や整備をしています。もちろん一般家庭の修理も数多くいただいています。

対象はピアノだけに限りません。管楽器や打楽器も依頼があれば対応します。メーカーから「直せません」と断られた楽器でも、「なんとかしてあげたい」という気持ちで工夫を重ねるんです。倉庫には古い楽器や部品を保管していて、それを移植してよみがえらせることもあります。

「買い替えをすすめるほうが楽かもしれない。でも直せるものは直して、生かしたい。」

それが私たちの姿勢です。木でできた楽器は、年月を重ねるほど音に深みが出る。特にバイオリンなどの弦楽器は“木が音を覚える”といわれるほどで、時間とともに音色が豊かになっていきます。だからこそ修理や調律を通じて、その楽器が持つ本来の音を取り戻すことにこだわっているんです。

音を届ける喜び

この仕事のやりがい

お客さんから『どこに頼んでもダメだったのに、ここで直してもらえた』って言われたときが、一番うれしいですね。

修理や調律を通して楽器が息を吹き返す瞬間は、私たちにとっても特別です。たとえば、祖父母の代から使われていたピアノを整備して、お孫さんが再び弾けるようになったとき。音だけでなく、その家庭の思い出までもよみがえる。そこに立ち会えることが、この仕事の大きなやりがいです。

音楽って、人の心を豊かにするんですよね__。

私たちは修理や調律にとどまらず、地域のイベントや敬老会にも参加をし生演奏を届けることもあります。CDや配信では味わえない“生の音”は、子どもたちの目を輝かせ、お年寄りの心に懐かしい記憶を呼び起こします。

さらに音楽教室も運営していて、特に大人世代に人気なのが二胡(にこ)です。
私自身が二胡に出会ったのですが、努力すればするほど音色が深まる楽器なんです。聴く人の心を癒せるし、弾く人にとっても挑戦する楽しみがある。今では二胡教室が会社の大きな柱となり、生徒さんの発表会や演奏会も盛んに開かれています。

楽器を直して生かすことも、音を通じて人に喜んでもらうことも、次の世代へ音をつなげていく大切な役割。その積み重ねこそが、この仕事の魅力です。

大切にしている姿勢

これからの展望

楽器って、直せばまだまだ使えるんです。だから“直せるものは直して、生かす”。この姿勢だけはずっと大切にしていきます。

メーカーが断った楽器でも、工夫を重ねればもう一度音を響かせることができる。その瞬間にお客様が見せる笑顔や安堵の表情が、私たちの原動力です。

もう一つ大事にしているのは“協力”。
運送や大型搬入など、自社だけでできないことは無理をせず、地域の仲間たちと連携しています。ありがたいことに、私たちの周りには快く協力してくれる仲間ばかり。競争よりも協力。みんなで音楽を支えるほうが、ずっと健全だと思うんです。

将来については、少子化や楽器業界の縮小という現実があります。でも、音楽そのものがなくなることは絶対にありません。だからこそ販売に依存せず、修理・調律・教室という“アフターに特化した楽器商”としての道をさらに深めていきます。

二胡はこれからもっと広がる楽器だと思っています。指導できる人を増やして、長岡から県内各地へ広げたい。そしていつかは、自分自身も老人ホームで二胡を弾きながら過ごしたいんです。自分も楽しみ、人に喜んでもらえる音楽なら、未来も明るいはずです。

会社情報

会社名略称. 有限会社高橋楽器
勤務先名 有限会社高橋楽器
本社住所 新潟県長岡市大山2丁目238-14
代表者名 代表 高橋 裕二様
1年後〜3年後の目標 「捨てられる楽器を救うこと」です。
「捨てる」と聞くとどうしても寂しい気持ちになります。もちろん本当に処分しなければならない楽器もありますが、その前に一言声をかけてもらえれば、活かせる可能性がある。直せるものは生かしてあげたいんです。

次に、場所づくりです。ここは田舎で人が集まる場所ではないかもしれません。でも、「ここに来れば楽器を直してくれる」と思ってもらえるような、ちょっとした“パワースポット”のような存在にしたい。楽器の命をつなぐ場所として認知されることが理想です。
新規事業・チャレンジしたいこと 二胡の指導者を増やすこと。私一人では受け入れられる人数に限界があります。だからこそ、教える人を育てて、その先生方がそれぞれの場所で頑張っていただけるようにしたい。生徒さんを増やすだけではなく、先生を増やす方向にシフトしていく。これが今後大事になっていくと考えています。
こんな人に会いたい 楽器の世界は本当に独特です。だからこそ、まずは音楽や楽器が好きであることが大前提だと思います。

そしてもう一つ大切なのは、子どもや大人を音楽で楽しませたいという気持ち。人が好きで、人と関わることを楽しめる人でなければ、この仕事を長く続けるのは難しいでしょう。

「音楽が好き、楽器が好き、子どもが好き、大人が好き、人が好き。」
そんな気持ちを持っている方と出会い、ともに音楽を支えていけたら嬉しいですね。
事業内容 音楽関連サービス業(楽器商)ピアノ調律師/楽器修理/音楽教室講師
メッセージ こちらもご覧ください!
【HP】https://www.t-gakkiya.com/

取材者情報

今回の社長へのインタビュアーのご紹介です。
「話を聞きたい!」からお問い合わせを頂いた場合は運営会社の株式会社採用戦略研究所を通して、各インタビュアー者よりご連絡させて頂きます。

取材者名 ㈱採用戦略研究所 小林
住所 新潟県長岡市山田3丁目2-7
電話番号 070-1476-9740
事務所HP https://rs-lab.jp/

話を聞きたい!