失敗を恐れず、正直であれ──坂井工業に息づく社長の信念【代表 坂井真和氏】
有限会社坂井工業
90年の歩みと継承のドラマ
廃業の危機からつながった“バトン”
坂井工業は、私の祖父が立ち上げた会社です。来年で創業90周年を迎える長い歴史があります。
本来であれば父が継承するはずでしたが、私が16歳のときに父は急逝。
突然の出来事に「会社をたたむしかない」という話も出たそうです。それでも祖父は、「会社を終わらせるのはやめよう」と決断しました。
当時の私は、車が好きで整備士を目指し、まったく違う分野の短大に通っていました。そんなとき、祖父から「会社に入れ」と言われたんです。
そのときの返事は「……はい」。正直に言えば、心から納得したわけではなく、流れに押されるように決めたのが本音です。
短大は卒業まで通い、その後すぐに坂井工業へ入社しました。ただ、入ってからも決して前向きではなく、「正直、嫌だな」と思う気持ちの方が大きかったんです。工場の現場で仕事をするのが性に合わず、どちらかといえば配達に出るほうが気楽で、「ちょっと配達行ってきます」と言って工場を離れることもしばしばでした。
しかも現場のことも、社長になるまでは「自分がやりたい」と思えるイメージはまったくなく、はたから見れば「お手伝いしている人」にしか見えなかったと思います。
そんな自分に仕事を教えてくれたのは、祖父ではなく現場の社員たちでした。ものづくりの基礎や仕事の流れを、日々の作業を通して丁寧に教えていただきました。嫌だと思いながらも、気づけば社員に育ててもらっていたんです。
こうして現場に支えられながら成長し、やがて祖父から会社を継承。社長となってから気づけば18年。振り返れば、祖父の「会社をたたむのはやめよう」という決断と、社員の皆さんの存在があったからこそ、今の坂井工業があります。
本来であれば父が継承するはずでしたが、私が16歳のときに父は急逝。
突然の出来事に「会社をたたむしかない」という話も出たそうです。それでも祖父は、「会社を終わらせるのはやめよう」と決断しました。
当時の私は、車が好きで整備士を目指し、まったく違う分野の短大に通っていました。そんなとき、祖父から「会社に入れ」と言われたんです。
そのときの返事は「……はい」。正直に言えば、心から納得したわけではなく、流れに押されるように決めたのが本音です。
短大は卒業まで通い、その後すぐに坂井工業へ入社しました。ただ、入ってからも決して前向きではなく、「正直、嫌だな」と思う気持ちの方が大きかったんです。工場の現場で仕事をするのが性に合わず、どちらかといえば配達に出るほうが気楽で、「ちょっと配達行ってきます」と言って工場を離れることもしばしばでした。
しかも現場のことも、社長になるまでは「自分がやりたい」と思えるイメージはまったくなく、はたから見れば「お手伝いしている人」にしか見えなかったと思います。
そんな自分に仕事を教えてくれたのは、祖父ではなく現場の社員たちでした。ものづくりの基礎や仕事の流れを、日々の作業を通して丁寧に教えていただきました。嫌だと思いながらも、気づけば社員に育ててもらっていたんです。
こうして現場に支えられながら成長し、やがて祖父から会社を継承。社長となってから気づけば18年。振り返れば、祖父の「会社をたたむのはやめよう」という決断と、社員の皆さんの存在があったからこそ、今の坂井工業があります。
苦労と転機
リーマンショックが教えてくれたこと
とにかく最初は「なんにもわからない!」。仕事も嫌々で入っていたので、苦労というより「やりたくない」という気持ちのほうが強かったですね。
そんな私を助けてくれたのは“時代の波”でした。社長になってから最初の2〜3年は、ちょうど坂井工業が超好景気の時期。何もしなくても毎月決まったお客様から注文が入り、自然と売上も伸びていく。毎年のように増収増益で、正直なところ「社長って意外と簡単なんじゃないか」とさえ思っていました。
しかし、その幸せな時間は長くは続きませんでした。リーマンショックの直撃です。メインのお客様の転注により、売上の7割が一気に消えました。当時そのお客様が全体の9割を占めていたため、経営が成り立たないほどの深刻な打撃を受けたのです。
仕事はなくなり、週休3日にせざるを得ない。25歳の若造が社長をやっていることに社員も不満を持ち、社内の空気も悪くなる。経理士と数字を見たときには、さすがに私でも危機感を覚えました。社員の給料は払っていましたが、貯金を切り崩しながらの毎日で、「もうダメかもしれない」と思った瞬間もあります。
そんなとき、私は商工会議所に入り、営業を始め、社員とも腹を割って話すようになりました。特に商工会青年部の先輩方との出会いが大きかったですね。直接言われたわけではなく、人づてに「なんで坂井は困っているのに相談に来ないんだ?」と聞いて、「相談していいんだ」と気づき、すぐに足を運びました。そこで初めて「社長業と本気で向き合わなければ」と思えたんです。
そこから考え方はガラリと変わりました。仕事は簡単じゃない、厳しい世界だ。だからこそ日々学び続けなければならない。リーマンショックは大変な出来事でしたが、私にとっては「嫌々やっていた仕事を本気に変えてくれた大きな転機」になったのです。
そんな私を助けてくれたのは“時代の波”でした。社長になってから最初の2〜3年は、ちょうど坂井工業が超好景気の時期。何もしなくても毎月決まったお客様から注文が入り、自然と売上も伸びていく。毎年のように増収増益で、正直なところ「社長って意外と簡単なんじゃないか」とさえ思っていました。
しかし、その幸せな時間は長くは続きませんでした。リーマンショックの直撃です。メインのお客様の転注により、売上の7割が一気に消えました。当時そのお客様が全体の9割を占めていたため、経営が成り立たないほどの深刻な打撃を受けたのです。
仕事はなくなり、週休3日にせざるを得ない。25歳の若造が社長をやっていることに社員も不満を持ち、社内の空気も悪くなる。経理士と数字を見たときには、さすがに私でも危機感を覚えました。社員の給料は払っていましたが、貯金を切り崩しながらの毎日で、「もうダメかもしれない」と思った瞬間もあります。
そんなとき、私は商工会議所に入り、営業を始め、社員とも腹を割って話すようになりました。特に商工会青年部の先輩方との出会いが大きかったですね。直接言われたわけではなく、人づてに「なんで坂井は困っているのに相談に来ないんだ?」と聞いて、「相談していいんだ」と気づき、すぐに足を運びました。そこで初めて「社長業と本気で向き合わなければ」と思えたんです。
そこから考え方はガラリと変わりました。仕事は簡単じゃない、厳しい世界だ。だからこそ日々学び続けなければならない。リーマンショックは大変な出来事でしたが、私にとっては「嫌々やっていた仕事を本気に変えてくれた大きな転機」になったのです。
小ロットから大ロットまで応える柔軟力
他社が嫌がる領域こそ、私たちの強み
坂井工業の事業は、プレス加工・精密加工・板金加工を中心とした金属加工全般です。しかし「うちは加工屋です」と一言で片づけられないのが特徴。
素材の手配から表面処理、組立、検品、包装に至るまで、金属に関わることなら幅広く対応し、最後まで責任をもってお客様に届けています。
特にこだわっているのが、「他社が嫌がる領域」に挑む姿勢です。たとえばプレス加工といえば、数千個・数万個といった大ロット生産が一般的です。
しかし坂井工業はその逆を強みにし、数百個や数十個といった小ロットの注文にも積極的に対応しています。
一方で板金加工は通常、1個や2個といった少量生産が中心です。そこでも坂井工業は「1,000個つくりたい」という依頼を断ることなく引き受け、金型投資を求めずに製品化することもあります。
つまり「少量でも大量でも、お客様の希望に応えられる」柔軟さこそが、坂井工業の真骨頂です。
私たちが大切にしているのは、「この数ならできない」と線を引くのではなく、「どうすればできるか」を考えること。
お客様にとっては数十個でも数千個でも大切な製品であり、その想いに100%応えることが坂井工業の使命だと考えています。
素材の手配から表面処理、組立、検品、包装に至るまで、金属に関わることなら幅広く対応し、最後まで責任をもってお客様に届けています。
特にこだわっているのが、「他社が嫌がる領域」に挑む姿勢です。たとえばプレス加工といえば、数千個・数万個といった大ロット生産が一般的です。
しかし坂井工業はその逆を強みにし、数百個や数十個といった小ロットの注文にも積極的に対応しています。
一方で板金加工は通常、1個や2個といった少量生産が中心です。そこでも坂井工業は「1,000個つくりたい」という依頼を断ることなく引き受け、金型投資を求めずに製品化することもあります。
つまり「少量でも大量でも、お客様の希望に応えられる」柔軟さこそが、坂井工業の真骨頂です。
私たちが大切にしているのは、「この数ならできない」と線を引くのではなく、「どうすればできるか」を考えること。
お客様にとっては数十個でも数千個でも大切な製品であり、その想いに100%応えることが坂井工業の使命だと考えています。
社員と共につくる会社の未来
自由と責任が育む職場
現在、坂井工業には18名の社員が働いています。外国人社員の雇用もあり、以前より人数は少し減りましたが、その分、女性社員が大きく活躍しているのが今の特徴です。最近も2名を正社員として迎え入れ、プレス加工を任せながら、将来は会社の先頭に立って引っ張ってくれる人材へと育っていくことを期待しています。
特に子育て中のママさんたちの活躍は、坂井工業の大きな力になっています。これからの働き方は多様化していく時代。
将来的には「総合戦略を考える部署」を立ち上げたり、工場でありながら在宅ワークの仕組みを取り入れたりと、柔軟な働き方の可能性を見据えています。
私が入社した頃は、周りはほとんど年上ばかりで、やりづらさもありました。しかし今では社員の多くが私より年下で、平均年齢は35〜36歳。
だからといって「上司の言うことは絶対」といった上下関係を押しつけるのではなく、会社として大切にしているのは「好きなことを自分の責任のもとで自由にやる」という理念です。
ちょうど1年前には社員を交えて、今後の行動理念や活動方針をみんなで考えました。金属加工にとどまらない新しい挑戦をする時にも、「行動理念」と「コアバリュー」に沿っていれば自由にやっていい。そう伝えることで、社員が自分の力で未来を切り開けるような環境をつくっています。
私の想いはシンプルです。社員にはプライベートも仕事も両方充実してほしい。そのためには、責任感と余裕を持って働くことが大切だと思っています。
心と体のバランスが取れていれば自然とストレスもなくなり、日々を楽しく過ごせる。だからつい「飲みに行こう!」って気軽に誘っちゃうんです(笑)。
特に子育て中のママさんたちの活躍は、坂井工業の大きな力になっています。これからの働き方は多様化していく時代。
将来的には「総合戦略を考える部署」を立ち上げたり、工場でありながら在宅ワークの仕組みを取り入れたりと、柔軟な働き方の可能性を見据えています。
私が入社した頃は、周りはほとんど年上ばかりで、やりづらさもありました。しかし今では社員の多くが私より年下で、平均年齢は35〜36歳。
だからといって「上司の言うことは絶対」といった上下関係を押しつけるのではなく、会社として大切にしているのは「好きなことを自分の責任のもとで自由にやる」という理念です。
ちょうど1年前には社員を交えて、今後の行動理念や活動方針をみんなで考えました。金属加工にとどまらない新しい挑戦をする時にも、「行動理念」と「コアバリュー」に沿っていれば自由にやっていい。そう伝えることで、社員が自分の力で未来を切り開けるような環境をつくっています。
私の想いはシンプルです。社員にはプライベートも仕事も両方充実してほしい。そのためには、責任感と余裕を持って働くことが大切だと思っています。
心と体のバランスが取れていれば自然とストレスもなくなり、日々を楽しく過ごせる。だからつい「飲みに行こう!」って気軽に誘っちゃうんです(笑)。
未来へのビジョン
地域に誇れる企業を目指して
私が描いているのは、燕や三条に誇れる企業として存在感を発揮することです。決して「ホワイト企業」という言葉だけに収まるのではなく、社員一人ひとりが幸せを感じられる会社であること。そのためには規模が小さすぎてもいけないし、地域で一定の認知度を持ち、トップ企業のひとつとして名を挙げられるような存在になることが、私にとっての長期的な目標です。
その実現のために欠かせないのが「社員が働きやすい環境づくり」。常に新しいチャレンジを仕掛けたいと考えています。
たとえば最近では、会社を二つの部門に分け、毎週私がお題を出して社員全員で考える取り組みを始めました。
効率アップや利益率改善といったテーマを軸に、部署ごとのミーティングではなく、あえて組織の枠を超えた横のつながりをつくる。そんな風に“会社全体で考える文化”を育てています。
ビジョンの根底にあるのは、やはり「金属加工業としての誇り」です。生業としてきた金属加工を徹底的に突き詰め、社内で一貫生産を実現する。
そしてそこには必ず「坂井品質」と呼べる絶対的な品質保証をつける。この姿勢こそが坂井工業の未来を形づくる軸であり、次の時代に向けた挑戦です。
その実現のために欠かせないのが「社員が働きやすい環境づくり」。常に新しいチャレンジを仕掛けたいと考えています。
たとえば最近では、会社を二つの部門に分け、毎週私がお題を出して社員全員で考える取り組みを始めました。
効率アップや利益率改善といったテーマを軸に、部署ごとのミーティングではなく、あえて組織の枠を超えた横のつながりをつくる。そんな風に“会社全体で考える文化”を育てています。
ビジョンの根底にあるのは、やはり「金属加工業としての誇り」です。生業としてきた金属加工を徹底的に突き詰め、社内で一貫生産を実現する。
そしてそこには必ず「坂井品質」と呼べる絶対的な品質保証をつける。この姿勢こそが坂井工業の未来を形づくる軸であり、次の時代に向けた挑戦です。
会社情報
| 会社名略称. | 有限会社坂井工業 |
|---|---|
| 勤務先名 | 有限会社坂井工業 |
| 理念・使命 | 経営理念 社員の思いで好きなことができる 行動理念 世の中を知る 協力し合う 変化を楽しむ |
| 本社住所 | 新潟県三条市直江町4丁目7‐44 |
| 代表者名 | 代表取締役 坂井 真和様 |
| こんな人に会いたい | 私が一緒に働きたいと思うのは、我慢強い人です。プレス加工の仕事は、どうしても同じ作業の繰り返しになります。だからこそストレスに耐えられる強さや、辛抱強さを持っている人が向いていると思います。 その意味でも、戦略的に女性社員を増やしている部分があります。一般的に女性のほうが気が長く、同じ作業にも根気強く取り組める傾向があるのではないかと感じています。もちろん男女平等は大前提ですが、「向いている仕事」「そうでない仕事」があるのも事実。プレス加工に関しては、女性の力が特に発揮されやすいと考えています。 |
| 事業内容 | プレス加工・板金加工 |
| メッセージ | 私は、社員には「真面目に、正直にやれ」と常に伝えています。 嘘をつくことが一番嫌いですし、たとえミスをしたとしても、その先の責任を取るのは社長である私の役目です。だから失敗を怖がらずに挑戦してほしい。 中には「絶対に社長が責任を取ってくれるんですね!」と念を押す社員もいますが(笑)、それで構いません。ただし、正直に向き合えなかったり、調子のいいことばかりを言っていると、いざというときに私も助けられなくなる。だからこそ「正直であること」こそが、坂井工業で働く上で一番大切にしてほしいことなんです。 |
| その他 | ◆求人情報◆ 募集職種 ・現場スタッフ(2名) ・営業スタッフ(1名) ・総務スタッフ(1名) 雇用形態 正社員 給与 基本給:19万円~ 勤務時間 8:20~17:20(実働8時間) 昼休憩50分・休憩10分 休日・休暇 週休2日制(年間休日120日) 福利厚生 ・7月・8月はアイス食べ放題 ・働きやすい環境づくりに取り組んでいます! |
取材者情報
今回の社長へのインタビュアーのご紹介です。
「話を聞きたい!」からお問い合わせを頂いた場合は運営会社の株式会社採用戦略研究所を通して、各インタビュアー者よりご連絡させて頂きます。
| 取材者名 | ㈱採用戦略研究所 土田 |
|---|---|
| 住所 | 新潟県長岡市山田3丁目2-7 |
| 電話番号 | 070‐6433‐5645 |
| 事務所HP | https://rs-lab.jp |