挑戦と支援の二刀流。和食から弁当、就労支援、そして農業へ。人の人生にガチで向き合います!【代表 澤口卓氏】
株式会社源七/澤グループ
思いがけぬ事故から始まった
料理人の道
私は21歳から料理人の道に入りました。
調理師学校に通ったものの遊びすぎて卒業が遅れ、ようやく市内の飲食店に就職した矢先、突然辞めざるを得ない状況に見舞われました。そんな中、私を拾ってくれた割烹料理店の親方のお店で3年半みっちり基礎を叩き込まれたことが、今の私の土台になっています。
その後は銀座や新宿の店で修行を重ねました。新宿では1日300人が来店する繁盛店で腕を磨きましたが、そこで大きな事故が起きました。人の包丁が足に落ちて腱を切ってしまったんです。東京で3回手術を受けましたが失敗続きで、歩くのも困難に。このままでは生活が成り立たない……そう思っていた時、いつも利用していたタクシーの運転手さんが「腱に強い病院があるよ」と調べて教えてくれました。そのひとつが新潟の中央病院でした。
新潟で手術を受け、無事に足は回復。そんな私に、父が「店でもやるか?」と声をかけてくれたのです。関西に修行へ行きたい気持ちもありましたが、そのとき思い出したのが、かつて人から言われた言葉でした。
__「チャンスは平等じゃない」
「やります」と答えた瞬間が、私の最初の店「和楽亭澤」の始まりでした。
調理師学校に通ったものの遊びすぎて卒業が遅れ、ようやく市内の飲食店に就職した矢先、突然辞めざるを得ない状況に見舞われました。そんな中、私を拾ってくれた割烹料理店の親方のお店で3年半みっちり基礎を叩き込まれたことが、今の私の土台になっています。
その後は銀座や新宿の店で修行を重ねました。新宿では1日300人が来店する繁盛店で腕を磨きましたが、そこで大きな事故が起きました。人の包丁が足に落ちて腱を切ってしまったんです。東京で3回手術を受けましたが失敗続きで、歩くのも困難に。このままでは生活が成り立たない……そう思っていた時、いつも利用していたタクシーの運転手さんが「腱に強い病院があるよ」と調べて教えてくれました。そのひとつが新潟の中央病院でした。
新潟で手術を受け、無事に足は回復。そんな私に、父が「店でもやるか?」と声をかけてくれたのです。関西に修行へ行きたい気持ちもありましたが、そのとき思い出したのが、かつて人から言われた言葉でした。
__「チャンスは平等じゃない」
「やります」と答えた瞬間が、私の最初の店「和楽亭澤」の始まりでした。
和楽亭澤から広がった挑戦
旬の料理を“誰もが手にできる味”に
「和楽亭澤」では旬の食材を大切にしています。
ひとつの素材が高級店では数万円の料理で提供されることもありますが、工夫次第で誰でも手の届く料理にできる。私は高級店で料理を振る舞いたいわけじゃなく、みんなが笑顔で食べられる店をやりたかったんです。
私はおばあちゃん子で、祖母に自分の料理を食べてもらいたいと思っていましたが、それは叶いませんでした。だからこそ“誰でも楽しめる料理”にこだわるようになったんです。
やがて「人を育てたい」という思いも強くなり、他店の居抜きを買い取り居酒屋や食堂を展開。現在の「くろとり食堂」を開店した当時、お店に来て頂く飲食だけでは厳しいと考え、企業向けのお弁当事業を始めました。今では毎日700食ほど出ています。
最初は営業の経験もなく、飛び込み営業しても何度もインターホンで断られてばかり。正直、心が折れそうなときもありました。けれど、常連さんに助けてもらったり、タウンページに掲載したことをきっかけに問い合わせが一気に増え、気づけば検索結果でも上位に入るようになっていました。
「どうすれば相手が喜ぶか」__その気持ちで動いていたら、自然と道は開けていったんです。
ひとつの素材が高級店では数万円の料理で提供されることもありますが、工夫次第で誰でも手の届く料理にできる。私は高級店で料理を振る舞いたいわけじゃなく、みんなが笑顔で食べられる店をやりたかったんです。
私はおばあちゃん子で、祖母に自分の料理を食べてもらいたいと思っていましたが、それは叶いませんでした。だからこそ“誰でも楽しめる料理”にこだわるようになったんです。
やがて「人を育てたい」という思いも強くなり、他店の居抜きを買い取り居酒屋や食堂を展開。現在の「くろとり食堂」を開店した当時、お店に来て頂く飲食だけでは厳しいと考え、企業向けのお弁当事業を始めました。今では毎日700食ほど出ています。
最初は営業の経験もなく、飛び込み営業しても何度もインターホンで断られてばかり。正直、心が折れそうなときもありました。けれど、常連さんに助けてもらったり、タウンページに掲載したことをきっかけに問い合わせが一気に増え、気づけば検索結果でも上位に入るようになっていました。
「どうすれば相手が喜ぶか」__その気持ちで動いていたら、自然と道は開けていったんです。
人手不足から始まった就労支援
今では全国から注目される取り組みに
お弁当事業が大きく広がった頃、深刻な人手不足に直面しました。
社員に無理をさせたくなかった私は「どうしたらいいんだろう」と頭を抱えていました。そんな時、お客様から「障害者の子を雇ってみたらどう?」と声をかけてもらったんです。
それをきっかけに就労支援を始めることを決意しました。施設を運営するには法人格が必要だったので、新しく「株式会社源七」を立ち上げたんです。はじめは“人手不足を埋めるため”でしたが、障害のある子たちと一緒に働くうちに、考え方が大きく変わっていきました。
うちの方針はシンプルで、「人として当たり前のことを大事にする」ことです。お菓子をもらったら「ありがとう」、食べるときは「いただきます」。障害があるから仕方ない、ではなく、社会に出た時に必要な礼儀をちゃんと伝えるようにしています。仕事の技術は社員が教えますが、私はあえて細かく口を出さない。なぜなら失敗して学ぶことも大事だからです。
また、先輩の障害者の子が新しい子に仕事を教える仕組みにしています。そうすることで「自分にもできるんだ」という自信につながり、社会に出ていくための力になる。実際、働きながら笑顔を見せるようになったり、悔しくて涙を流すようになったりと、大きな成長を見せてくれるんです。
はじめは月8万円ほどだった給与も、いまは平均12万円まで上げました。生活保護に頼らず、自分の力で生きられるようになってほしい。そのためにあえて挑戦してきました。車の免許を取れるようになった子や結婚を真剣に考える子もいて、親御さんにも安心していただけるようになったと思います。
そして、うちで働く子たちは、毎日700食のお弁当を一緒に作り上げる大切な仲間です。最初は「人手不足を補うため」だった取り組みが、今ではかけがえのない力になり、会社の原動力になっています。
いまでは全国から視察に来るほどになり、講演会でも「みなさん、障害を持って生まれたかったですか?」とあえて問いかけています。風当たりの強い現実を知っているからこそ、私は伝えたいんです。「胸を張って生きていいんだよ」と。
社員に無理をさせたくなかった私は「どうしたらいいんだろう」と頭を抱えていました。そんな時、お客様から「障害者の子を雇ってみたらどう?」と声をかけてもらったんです。
それをきっかけに就労支援を始めることを決意しました。施設を運営するには法人格が必要だったので、新しく「株式会社源七」を立ち上げたんです。はじめは“人手不足を埋めるため”でしたが、障害のある子たちと一緒に働くうちに、考え方が大きく変わっていきました。
うちの方針はシンプルで、「人として当たり前のことを大事にする」ことです。お菓子をもらったら「ありがとう」、食べるときは「いただきます」。障害があるから仕方ない、ではなく、社会に出た時に必要な礼儀をちゃんと伝えるようにしています。仕事の技術は社員が教えますが、私はあえて細かく口を出さない。なぜなら失敗して学ぶことも大事だからです。
また、先輩の障害者の子が新しい子に仕事を教える仕組みにしています。そうすることで「自分にもできるんだ」という自信につながり、社会に出ていくための力になる。実際、働きながら笑顔を見せるようになったり、悔しくて涙を流すようになったりと、大きな成長を見せてくれるんです。
はじめは月8万円ほどだった給与も、いまは平均12万円まで上げました。生活保護に頼らず、自分の力で生きられるようになってほしい。そのためにあえて挑戦してきました。車の免許を取れるようになった子や結婚を真剣に考える子もいて、親御さんにも安心していただけるようになったと思います。
そして、うちで働く子たちは、毎日700食のお弁当を一緒に作り上げる大切な仲間です。最初は「人手不足を補うため」だった取り組みが、今ではかけがえのない力になり、会社の原動力になっています。
いまでは全国から視察に来るほどになり、講演会でも「みなさん、障害を持って生まれたかったですか?」とあえて問いかけています。風当たりの強い現実を知っているからこそ、私は伝えたいんです。「胸を張って生きていいんだよ」と。
人を喜ばせ、育てる喜び
泣く理由が変わったとき、人は大きく成長する
私にとって一番の原動力は、お客様からの「おいしかったよ」「ありがとう」「また来るね」という言葉です。料理を通じて人が喜んでくれる姿を見られることほど、嬉しいものはありません。
くろとり食堂やお弁当事業には、以前の職場でうまくいかなかったり、嫌な思いをしたスタッフも多く働いています。最初は注意されたことを「怒られた」と感じて泣いてしまった子が、今ではできなかったことに「悔しくて泣く」ようになった。泣く理由が変わったんです。これは大きな成長だと思います。
また、敬語を覚えたり、笑顔が増えたり、趣味にお金を使えるようになったりと、一人ひとりの人生が少しずつ変わっていく。そんな姿を見ていると、「この子たちはちゃんと社会で生きていける」と確信できます。
一緒に働く澤グループのスタッフも多彩です。私は和食を担当していますが、フレンチ、中華、寿司や蕎麦、それぞれの分野の職人が揃っています。10年来の同級生も一緒に働いてくれています。みんな仲が良く、支え合いながら日々の仕事をこなしてくれています。
うちの職場は“人の人生に向き合い、寄り添う場”だと思っています。人を育てることも、困っている人を助けることも、すべては「人が喜ぶ顔を見たい」という気持ちからきています。
くろとり食堂やお弁当事業には、以前の職場でうまくいかなかったり、嫌な思いをしたスタッフも多く働いています。最初は注意されたことを「怒られた」と感じて泣いてしまった子が、今ではできなかったことに「悔しくて泣く」ようになった。泣く理由が変わったんです。これは大きな成長だと思います。
また、敬語を覚えたり、笑顔が増えたり、趣味にお金を使えるようになったりと、一人ひとりの人生が少しずつ変わっていく。そんな姿を見ていると、「この子たちはちゃんと社会で生きていける」と確信できます。
一緒に働く澤グループのスタッフも多彩です。私は和食を担当していますが、フレンチ、中華、寿司や蕎麦、それぞれの分野の職人が揃っています。10年来の同級生も一緒に働いてくれています。みんな仲が良く、支え合いながら日々の仕事をこなしてくれています。
うちの職場は“人の人生に向き合い、寄り添う場”だと思っています。人を育てることも、困っている人を助けることも、すべては「人が喜ぶ顔を見たい」という気持ちからきています。
未来への展望
食と農をつなぐ挑戦
これから挑戦したいのは「農業」です。
うちの店では年間で25〜30トンの米を使っています。これまでは仕入れてきましたが、いずれは自分たちで生産していきたい。すでに倉庫も購入して、準備を始めています。
将来的には農業分野に障害者施設も立ち上げて、そこで働ける環境を整えていきたいと思っています。農業は「農福連携」と言われますが、なかなか現実にはうまくいっていないのが現状です。けれど、うちは生産・加工・販売までを一貫してできる“6次産業”の仕組みがあります。だからこそ、障害を持つ子たちも戦力として働ける新しい形をつくれると信じています。
「うちで働けば、食べる場もある、住む場もある、そして働く場もある」__そんな環境をつくることが、私の目標です。親御さんが「うちの子はここにいれば安心だ」と思ってくれるような場所を増やしていきたい。
私は、人が喜んでくれる姿を見るのが好きで、困っている人を見過ごせない性分です。だからこそ、飲食と福祉、そしてこれからの農業をつなげる挑戦を続けていきます。
「俺一代でもいいから、とにかくみんなが楽しめるスペースを広げたい」
その気持ちは、これからも変わりません。
うちの店では年間で25〜30トンの米を使っています。これまでは仕入れてきましたが、いずれは自分たちで生産していきたい。すでに倉庫も購入して、準備を始めています。
将来的には農業分野に障害者施設も立ち上げて、そこで働ける環境を整えていきたいと思っています。農業は「農福連携」と言われますが、なかなか現実にはうまくいっていないのが現状です。けれど、うちは生産・加工・販売までを一貫してできる“6次産業”の仕組みがあります。だからこそ、障害を持つ子たちも戦力として働ける新しい形をつくれると信じています。
「うちで働けば、食べる場もある、住む場もある、そして働く場もある」__そんな環境をつくることが、私の目標です。親御さんが「うちの子はここにいれば安心だ」と思ってくれるような場所を増やしていきたい。
私は、人が喜んでくれる姿を見るのが好きで、困っている人を見過ごせない性分です。だからこそ、飲食と福祉、そしてこれからの農業をつなげる挑戦を続けていきます。
「俺一代でもいいから、とにかくみんなが楽しめるスペースを広げたい」
その気持ちは、これからも変わりません。
会社情報
| 会社名略称. | 株式会社源七/澤グループ |
|---|---|
| 勤務先名 | 和楽亭澤・源七くろとり食堂・お弁当配達事業・麺屋ほんず・就労継続支援A型アンジュ |
| 本社住所 | 新潟市西区黒鳥2104 |
| 代表者名 | 代表取締役 澤口 卓様 |
| 1年後〜3年後の目標 | これからは農業を本格的に始めていきます。 米を自分たちでつくり、障害を持つ子たちが働ける農業施設を立ち上げたい。 「働く場所」「食べる場所」「住む場所」を揃えて、親御さんが安心して任せられる環境をつくるのが目標です。 |
| こんな人に会いたい | 人に思いやりを持って、相手の立場に立って動ける人。 私自身が「食べる人のことを考えて」料理しているように、誰かを喜ばせたいという気持ちを大事にできる人と、一緒に仕事をしていきたいです。 |
| 事業内容 | 食と福祉をつなぐ複合事業(飲食・弁当・就労支援・農業) |
| メッセージ | こちらもご覧ください! 【HP】https://warakutei-sawa.com/ 【Instagram】@kurotorisyokudo |
取材者情報
今回の社長へのインタビュアーのご紹介です。
「話を聞きたい!」からお問い合わせを頂いた場合は運営会社の株式会社採用戦略研究所を通して、各インタビュアー者よりご連絡させて頂きます。
| 取材者名 | ㈱採用戦略研究所 小林 |
|---|---|
| 住所 | 新潟県長岡市山田3丁目2-7 |
| 電話番号 | 070-1476-9740 |
| 事務所HP | https://rs-lab.jp/ |