未来志向経営者インタビューサイト「新潟社長図鑑」

流れに導かれて──ご縁と運が紡いだカメラマン人生【代表 難波契介氏】

STUDIOTHYME

写真との出会い──気づけばこの道に

一枚の写真が、未来をひらいた

「なんでカメラマンになったの?」と聞かれると、実は特別なきっかけがあったわけじゃないんです。どちらかというと“消去法”みたいな感じで…。

高校のとき、自分がやりたいことって何だろうってずっと考えていました。工業系の学校に進んだのも、“ものづくり”の仕事に進めたらいいなと思ったから。でも通っているうちに、なんとなく「自分には違うかもなぁ」と思うようになったんです。

そんなとき、ふと目にしたパンフレットの写真に、ぐっと惹き込まれたんですよね。写真なんてまったく撮ったこともなかったのに、「こういう仕事、いいなぁ」って。不思議なものですけど、その一枚が今につながる最初のきっかけでした。

そこから「じゃあ学んでみよう」と思って、写真の専門学校に進むことにしました。2年間みっちり学んだんですが、就職となるとカメラマンの道は狭くて…。どうしようかなと考えていたときに、先生から「スタジオのアシスタントを探しているところがあるよ」と紹介していただいたんです。

その会社は人物写真ではなく、物や商業写真が中心。働きながら撮影に向き合ううちに、「あ、自分は人物より物を撮るほうが好きなのかもしれないな」と自然に気づいていきました。それが2〜3年目くらいの頃です。

気づけば、その会社で9年間お世話になっていました。そして、あるきっかけを機に独立することになったんです。

独立への一歩

引き継ぎから法人化まで

今思うと“消去法で選んだ”ような写真の道でしたが、最初に就職したスタジオで過ごした9年間は、私にとって大きな財産になりました。最初はアシスタントとして道具の準備や撮影の補助からスタートし、少しずつ任される仕事が増えていきました。やがて、自分の名前で撮影を任せてもらえるようになり、「カメラマン」としてデビューしたときの喜びは今でも忘れられません。

そんなある日、社長から「会社をたたむことにした」と告げられました。高齢ということもあって廃業を選ばれたんです。そのとき残された社員は、私を含め数名。進むべき道は、「会社を引き継ぐ」か「それぞれ独立する」かでした。最終的には、今抱えている案件を分け合って、それぞれが独立する形をとることになりました。結果的にそれが一番穏やかで、自然な流れだったように思います。

正直に言えば、独立したからといって“苦労の連続”という感覚はありませんでした。というのも、すでに任されていた仕事をそのまま続ければよかったからです。日々の撮影をこなし、依頼をいただければ誠実に応える。ただそれを続ける毎日で、気づけば独立から何年も経っていました。

転機となったのは、独立して8年目。もっと営業活動を強化したい、県外にも活躍の場を広げたいと考えたときに、やはり「法人化した方がいい」と周りからもアドバイスをいただきました。法人の肩書きは、お客様にとっても安心感につながりますし、企業さんへご挨拶に伺うときにも信頼度が違います。

法人化によって収入面や仕事の幅が広がったのはもちろんですが、それ以上に「挑戦できる場が増えた」という感覚がありました。個人のときよりも選択肢が広がり、次のステージへ踏み出すきっかけになったんです。

振り返れば、独立は“意気込み”というよりも自然な流れの中で決断したものでした。けれど、法人化は明確に「新しい可能性を求めた挑戦」だったと思います。そしてその挑戦が、今のSTUDIO THYMEにつながっているのだと感じています。

STUDIO THYMEの強み

撮影からスタイリングまで“一括で任せられる安心感”

STUDIO THYMEの仕事は、営業に出向くこともありますが、ありがたいことに多くは依頼をいただく形で成り立っています。内容としては、食品や飲食店のメニュー撮影などをイメージしてもらうとわかりやすいと思います。

うちの特徴のひとつは、フードスタイリストのスタッフがいること。通常は外注することが多いのですが、STUDIO THYMEでは社内で完結できるため、依頼する側からしても手間が少なく、安心してお任せいただけるんじゃないかなと思います。撮影とスタイリングが一つになっているのは、実は大きな強みなんです。

撮影そのものについては、きっとどのカメラマンさんも同じように“とことん考える”と思うんですが、私も一つの商品を置く角度や距離感をミリ単位で動かしながら試しています。光の当て方ひとつで見え方が変わるので、何百パターンも撮影することも珍しくありません。人物撮影だとモデルさんの表情を何百枚と撮ることもありますが、物の場合は「どう仕上げたいか」というゴールをあらかじめ描いて、その完成形に近づけるように撮っていきます。

そのゴールのイメージは、やっぱりこれまでの経験や蓄積から生まれるものです。日頃から「いいな」と思う写真を見て、自分の中で“美味しそうに見える写真”“売れる写真”“かっこよく見える写真”のイメージを作っておく。それを撮影に落とし込むのが、私なりのスタイルですね。

物撮りの難しさは、動いてくれないこと(笑)。ほんの少しの角度で艶感や光り方が大きく変わってしまうので、本当に細かい世界だなと感じます。正直、感覚でやっている部分も多いので、うまく言葉で説明するのは難しいんですけどね。

そして私たちの場合、「撮って終わり」ではありません。その先にある“販売するための訴求物”として写真が役立つことが大切だと思っています。だからこそ、「この写真で売り上げが伸びた」とお客様から聞けると、本当にやってよかったなぁ、とほっとするんです。

転機──すべては“ご縁”と“運”のおかげ

偶然の積み重ねが導いたカメラマン人生

振り返ってみると、私にとって一番の転機はやはり独立したことですね。とはいえ、もともと独立しようと強く思っていたわけではありません。流れるままに進んできた、という感覚のほうが近いです。

正直、「どのタイミングで辞めてもおかしくなかった」と思うくらい、これまでの道のりは偶然の連続でした。そもそもカメラマンという仕事自体、“なれたらいいな”くらいの気持ちでスタートしているので、自分で「こうすると決めた!」と胸を張れる瞬間があったわけでもないんです。だからこそ、カメラマンとして今ここにいられること自体が、とても運が良かったのだと思います。

専門学校の仲間たちは「人物を撮りたい」とか「こういう分野に行きたい」と、明確な目標を持っている人が多くいました。でも私はそこまでの強い志がなく、「写真に関われる仕事につけたらいいな」くらいの気持ちでした。そんな中で出会ったのが、物撮りを専門とするスタジオ。しかも、その会社から求人が出ること自体が珍しく、本当にタイミングよく声をかけてもらえたんです。

もしそのご縁がなければ、カメラマンとしての人生は始まらなかったかもしれない。そう考えると、独立できたことも、法人化して今に至ることも、すべては「運が良かった」としか言いようがありません。ご縁をいただいて、ここまで来られた。それが私の転機であり、何よりの財産だと思っています。

「足りない何か」を見つけて

写真家としての成長と夢

コロナの時期には、私たちも収入がゼロになったことがありました。2か月ほど、まったく仕事がない状態です。でも、その間に「何もせずにじっとしていよう」とは思いませんでした。

ニュースで「コロナ禍でも頑張っている人たち」の取り組みを見て、いてもたってもいられなくなり、連絡を取ったんです。「私たちも無償で写真を撮ります」と。ほぼボランティアでしたが、農家さんや販売店さんの商品を通販サイトに載せて販売するお手伝いをしました。写真をきっかけに、誰かの役に立てるならと思ったんです。

不思議なもので、そのときのつながりが今でも続いていて、お仕事として依頼をいただく関係にもなっています。偶然の決断でしたが、「間違ってなかった」と心から思える経験になりました。流れに身を任せてきた人生でしたが、あのときは自分で選んだ決断のタイミングがよかったんだと思います。

これからの夢は…ちょっと大きなことを言えば「有名になりたい」ですね(笑)。たとえば情熱大陸に出ているような、そんな影響力のあるカメラマンに憧れます。もちろんそこまでいかなくても、多くの人に「この人に撮ってもらいたい」と思ってもらえる存在になりたいです。

独立してからは、全部自分で決めなければいけない立場になり、収入の作り方も、人とのつながり方も、一から考えるようになりました。憧れのカメラマンや有名な方に会うと、やっぱり「すごいな」と素直に感じます。

昔、自分の写真を見せたときに「きれいに撮れているけど、何かが足りない」と言われたことがあります。その“足りない何か”がわかるまでに3〜4年はかかりました。けれど今は、「あのとき言われたのはこういうことだったんだ」と理解できるようになりました。

写真を“見る量”と“撮る量”を積み重ねることで、自分自身が大きく成長できたと思います。一つひとつの違いに気づけるようになってからは、自分の写真も変わってきました。より細かい部分まで目を配れるようになり、作品に深みが出てきた実感があります。

これからも、ただ「きれいな写真」を撮るだけでなく、人の心に残る写真を届けていきたいと思います。

会社情報

会社名略称. STUDIOTHYME
勤務先名 STUDIOTHYME
本社住所 新潟県新潟市中央区花園1‐6‐13マルヒロビル3F303
代表者名 難波契介様
こんな人に会いたい これだったら誰にも負けない」というスキルを持っている人に出会ってみたいですね。自分にはない何かを持っている人と、一緒に仕事をしてみたいと思っています。そういう方と出会えたら、きっと新しい発見や学びがあるはずです。
事業内容 カメラマン
メッセージ 写真って、見る人によって見え方が変わるものだと思っています。
「何かが足りない」というのは、まさにそこなんです。

カメラマンはどうしても“きれいに撮ろう”とするものですが、ただ美しく切り取るだけでは「きれいだね」で終わってしまう。例えば夕日の写真なら、確かに美しいけれど、見てすぐに忘れてしまうことも多いんです。

あるとき言われたのは、「その景色をどう感じたのか、撮り手の目線が写真に現れていない」ということでした。人の真似をして並べてもしょうがない。たくさん写真を見て、自分の中にどう落とし込むのか。それを探しなさい、と。

「見る人によって見え方が違う写真」が理想じゃない?――その言葉が心に強く残っています。

写真は“言葉のようで言葉じゃない”と感じます。世界中の誰にでも伝わるけれど、解釈は人それぞれ。映像としては理解できるけれど、そこに込められた意味は一人ひとり違う。言葉だと説明そのものになってしまいますが、写真はもっと自由で、受け取る人の感性に委ねられる。

そうした考え方を、私自身が影響を受けたカメラマンから教わりました。そして今は、これからカメラマンを目指す人たちにも伝えていきたいと思っています。

取材者情報

今回の社長へのインタビュアーのご紹介です。
「話を聞きたい!」からお問い合わせを頂いた場合は運営会社の株式会社採用戦略研究所を通して、各インタビュアー者よりご連絡させて頂きます。

取材者名 ㈱採用戦略研究所 土田
住所 新潟県長岡市山田3丁目2-7
電話番号 070‐6433‐5645
事務所HP https://rs-lab.jp

話を聞きたい!