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速度の世界を降りて、精度の世界へ――がむしゃらに走った先に見つけた、“一台を極める”ボディーショップシルキーの道。【代表 井上誠氏】

ボディーショップシルキー

速度の世界から、精度の世界へ

“シルキー”誕生までの物語

「ボディーショップシルキー」という名前は、ふと思いついた言葉から始まりました。
“シルキー”絹のように滑らかで、美しい仕上がりをイメージしてつけた名前です。

私が起業したのは35歳のとき。
それまでの人生は、ずっとレース一筋でした。鈴鹿サーキットを拠点にバイクレーサー活動し、
30歳になる年に「ここまでで食っていけなかったら引退する」と、
自分の中で区切りをつけていました。

そして迎えた30歳。
全日本を引退し、生まれ育った地元へ戻ってきました。

正直、レースで燃え尽きてしまっていて、地元に帰ってきても「次に何をしたい」
という気持ちはまったくありませんでした。
ただ、鈴鹿で先輩の営むバイクマフラー製造屋さんで、初めて仕事で褒められた経験があったんです。
そのときに気づいたんですよね。
「仕事でも達成感ってあるんだな」って。

それがきっかけで、まず挑戦したのが鈑金の仕事でした。

入った部署は、受付から見積り、作業の段取りまで、全部ひとりでこなすようなところ。
そこで4年半お世話になりながら、気づいたんです。

――なんて素晴らしい仕事なんだろう、と。

もともと車が好きだったこともあり、ボコボコになった車がキレイに直っていく過程が楽しくて仕方なかった。
そして、仕上がった車を見たときのあの達成感。たまらなく気持ちよかった。

経験を積むうちに、改造車好きの仲間とつながるようになり、個人的に頼まれる仕事も増えていきました。
でも、昼間の仕事も忙しくて、自分が持ってきた仕事をする時間はない。
だから、仕事が終わってから夜な夜な作業をする日々。

そんな時、知り合いを通じて “新発田で一人で鈑金をやっている、しかもレーサー” という人の存在を知ったんです。
「そんな人が地元にいるのか!」と衝撃でした。

私が34〜35歳になっていて、「自分もいつか一人でやりたい」と思うようになっていた頃。
会社との考え方の違いも感じていたし、年齢的にも“挑戦するなら最後のタイミングかもしれない”
と考えるようになりました。

そして35歳のとき、覚悟を決めて独立。
辞めると決めたその1年間で、場所を探し、工場の準備を進め、
ボディーショップシルキーがスタートしました。

流れ着いた場所で育てた

“シルキー”という工場のかたち

最初に店を構えたのは、山のふもと。
小さいころから知っているダンプ屋の社長さんが、
「倉庫がひとつ空いてるから、使っていいぞ」と声をかけてくれて、
そこが“シルキー”の最初の拠点になりました。

でも、やっぱり市外から離れた場所だと不便もあって、
「もっと市内に近い場所でやりたいな」と思うようになりました。

そんなとき、偶然にも知り合いの鈑金屋さんが店を畳むことになり、
「工場を譲るよ」と言ってくださったんです。
そこでも4年半、しっかり仕事をさせてもらいました。

ただ、その場所にはもともと“道路拡張”の予定があり、
また移動しなくてはならなくなりました。
次の場所を考えているとき、関自動車さんが
「裏に空いてる場所があるよ。使っていいよ」
と言ってくださり、今の場所へと移ることになりました。

そして念願の“塗装ブース”も作りました。
鈑金ブースと塗装ブースを分けて、工場を一から組み直したんです。

「塗装はクリーンな環境じゃないと納得できない」
そう思っていたので、どうしてもつくりたかった空間でした。

気づけば、ボディーショップシルキーは13年目。
ここまで来られたのは、本当に周りの人のおかげです。

起業して最初の1年は、正直、苦労も多かったです。
会社員時代は、何かあっても会社が責任を取ってくれる。
でも今は、自分の名前で、お客さんと向き合わなきゃいけない。
その重みを、身をもって感じました。

そんなとき、私を鍛えてくれた人がいます。
会社員時代からの知り合いですが、独立してからの方が
より厳しく指導してくれて、
仕事もたくさん持ってきてくれました。

思い返すと、あの人がいたから今の私があると思います。

塗料も環境も変わって、失敗したこともたくさんありました。
家に帰らず、夜中までひとりで作業した日もありましたね。

でも――
「しっかり納車しなければ」
ただ、その想いだけで動いていたので、不思議と苦にはなりませんでした。

ひとりでやるのは、大変な日もある。
それでも、あの頃の積み重ねが、今の“シルキー”をつくってくれた。
そう思います。

仕事が途切れない理由

曲げない“職人の芯”

自慢ではないですけど……実は、これまで一度も
「仕事がない、どうしよう」と思ったことがないんです(笑)

宣伝もしたことがありません。
それでも、たくさんの方が私を頼って「車をお願いしたい」と持ってきてくれる。
それが本当にありがたいんですよね。

人生っておもしろいもので、がむしゃらにやっていると、なんとかなる。
本当にそう思います(笑)

そして、続けてきて気づいたことがあります。

“間違ったことをしない”
それがいちばん大事。

お金を儲けようと思えば、多少のズルや妥協をすれば、
その場しのぎで売上を作ることはできると思うんです。

でも、そんなことをしてしまったら絶対に将来はない。
私はそう思っています。

だから、この仕事は“お金目的”ではやっていません。
もちろん、売上は大切です。経営も必要です。

でも、会社を立ち上げたときに決めた理念――
「最後の最後の気持ちの部分は曲げない」その想いをずっと守ってきました。

人間ですから、正直めんどくさいなと思う瞬間はあります。
でも、一番の根っこだけは絶対に変えちゃいけない。

その気持ちを軸にして、
これまで“シルキー”を続けてきたんです。

“任せてよかった”のために。

納得できるまで手を止めない職人の目

私の仕事は、へこんだ車を直し、丁寧に塗装し、
キレイな姿でお客様にお返しすることです。

だからこそ、言われた以上の仕事をするというのをいつも心がけています。

特別なことをしているわけではありません。
でも、お客様に少しでも喜んでもらえるような仕上がりにしたい。
自分が時間をかけて向き合ったのに、その結果がきれいじゃなかったら……
やっぱり申し訳ないですよね。

鈑金も大事ですが、私は特に “塗装” に力を入れています。

クリアの仕上げ、色ムラをなくすこと、そして色の調合。
今でも本当に難しいと思うことはあります。

それでも、「シルキーに任せてよかった」
そう思ってもらえる一台をつくれたら最高なんです。

仕上げのチェックは、太陽光ライトでももちろんしますが、
最終的には“外に出して自然光で確認”。
太陽の下で見ないと、本当の色はわかりません。

そして、納得がいかなければ――
やり直します。

年に何回か、「これは自分の中でOKが出せない」という仕上がりのときは、
塗り直しになります。

お客様が見ても、きっと違いがわからない。
指摘されることもほとんどありません。

それでも、自分が納得できないものは絶対に納車できない。

プロとして、その気持ちだけは曲げられません。

だから時々、お客様には「すみません、あと2日ほど納期を延ばさせてもらえませんか」と
お願いすることもあります。

それは、手を抜くためじゃなく、“最後の一手間を大切にしたい”
その一心なんです。

一生に一度でいい。

“自分の手で”挑みたい一台がある

これからの夢をひとつ挙げるとすれば――
ポルシェ911を、自分の手で直してみたい。

あの一台に触れるには、きっと一から勉強が必要でしょうし、
簡単な世界じゃないこともわかっています。
それでも、人生に一度でいいから、あの車に本気で向き合ってみたいんです。

そして、もうひとつ強く思っているのは、技術をもっと上げたいという気持ちを、
ずっとなくさないこと。

その向上心が消えたときが、
きっと“やめるとき”なんだろうなと自分でも思っています(笑)

結局、この仕事は“好きだからやる”と決めたもの。
自分自身が納得できなくなったら、終わり。
だからこそ、常に上を目指す姿勢だけは手放したくない。

もし仕事をやめたら……
たぶん、私はずっと大好きな愛車“シルビア”をいじっていると思います(笑)

それくらい、車と向き合うことが、私の人生そのものなんです。

会社情報

会社名略称. ボディーショップシルキー
勤務先名 ボディーショップシルキー
本社住所 新潟県新発田市中田町3丁目1292‐1
代表者名 代表 井上 誠様
こんな人に会いたい 出会ってみた人
一緒に働くとしたら――
根性があって、嘘をつかず、正直な人。
そんな人となら、ぜひ一緒にやってみたいと思っています。

技術はあとからいくらでも覚えられるけれど、
“人としてのまっすぐさ”はごまかせない。
その部分を大事にできる人なら、
どんなに時間がかかっても育てたいし、
きっといい仕事ができるはずです。

本気で向き合う姿勢さえあれば、
この仕事は必ず応えてくれますから。
事業内容 鈑金/車の塗装

取材者情報

今回の社長へのインタビュアーのご紹介です。
「話を聞きたい!」からお問い合わせを頂いた場合は運営会社の株式会社採用戦略研究所を通して、各インタビュアー者よりご連絡させて頂きます。

取材者名 ㈱採用戦略研究所 土田
住所 新潟県長岡市山田3丁目2-7
電話番号 070‐6433‐5645
事務所HP https://rs-lab.jp

話を聞きたい!